僧帽弁形成術の再手術について―さらに進歩が

僧帽弁形成術の歴史が徐々に長くなるにつれて、 Pc43

再手術を依頼されることが増えました。

患者さんも弁形成の最後のチャンスと、

ネットなどで勉強して来られるかたが増えました。


いろいろなパタンがあります。

何れかの病院での初回手術がうまく行かず、

その後さらに逆流が増えて再手術が必要になったケース、

初回手術はうまく行ったものの、その後新たな病変が僧帽弁に発生したケース、

とくに初回手術から10年ー20年以上たち、弁そのものが壊れて来たケース、

などなどです。

私たちが再手術を多数お引き受けしていることをご存じで来られることが多々あります。


僧帽弁形成術の再手術は一回目の手術より難易度がMVP completed高くなります。

それは一回目の手術で弁組織が大きく切除されたり、

弁輪がすでに小さく形成されていたり、

長い年月の逆流によって弁が変性したりして

僧帽弁形成術をあらためて行うには不利な条件が増えていることが多いためです。


左図は典型的な初回僧帽弁形成術の後の姿です。

ここにあるリングや弁切除のあとが、

再形成術には多少の妨げになることがあるわけです。


運動と休憩aki_0218しかし患者さんが年齢的にお若く、

とくに20-40代ではまだまだ人工弁は避けたいところですし、

50-60代の方々でも活発に仕事やスポーツなどに打ち込みたいときには

僧帽弁形成術の意義は大なるものがあります。


そうした患者さんたちのご要望にできるだけ沿えるよう、さまざまな工夫をしています。


106521005たとえば弁が硬くなりすぎている場合は、

自己心膜などをうまく活用して硬い部分を取り換えるとか(右図)、

場合によっては前尖や後尖のほとんどを置き換えたり、

弁下組織つまり腱索などが硬く分厚くなっている場合は柔らかいゴアテックス糸で置き換えたり

弁機能のさまたげになっている肥厚組織を選別して切除するなどを行い、

まさに僧帽弁のシェイプアップを行います。

これによって弁機能はよみがえることが多いです。


これまでそうした複雑な方法は数年程度のデータしかなかったため、

よほどの場合に限定してもちいてきましたが、

最近は10年前後のデータが出てきて、

うまくやればかなり長持ちできることが確認できました。


そこで僧帽弁形成術の再手術の患者さんのご要望にお応えできることが増えたわけです。


この技術はまた、これまで僧帽弁形成術が難しいと言われたリウマチ性僧帽弁閉鎖不全症や僧帽弁閉鎖不全症兼狭窄症、

さらには僧帽弁狭窄症にもかなり応用が利くようになりつつあります。


こうした疾患の患者さんには、

これまで弁形成をしてあげたくても、長期成績に懸念があり、

お互い涙を呑んで人工弁をもちいてきましたが、

これからは一味ちがうことになるかも知れません。


Ilm09_dd05001-sまた再手術の患者さんではしばしば三尖弁閉鎖不全症を合併し、

その中にはうっ血性肝機能障害にまで至っておられるケースが散見されます。

とくにうっ血性肝硬変にまで進行している場合は大変です。

そのままでは遠からず死亡するリスクが高く、

かといって単純に手術すると体とくに肝臓が耐えられず命を落とす危険があります。


こうしたケースでは心臓+肝臓の回復プログラムで

まずできるだけ勝てる要素を増やしてから

心臓手術の戦略を立てるようにしています。

やみくもに突進しては負けてしまうケースでも、

こうIllust205して慎重かつきめ細かく治療すれば光が見えてくることがよくあります。


ともあれ、僧帽弁形成術の再手術は、

弁形成の専門家とじっくりと相談し、治療戦略を練り、

さまざまなテクニックの中でベストのものをベストの組み合わせで用いて治す、

高度な手術治療です。

 

患者さんやご家族におかれましては、

せめて全身の体力が残っている間にご相談頂ければ幸いです。

寝たきりになったり、あちこちの内蔵が壊れてからでは、

体が持ちませんとなる恐れがあります。

まずは相談です、勇気を出して。

 

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最終更新日時

  • 平成24年 4月10日(火曜日)