お便り43 がんの手術後に心臓腫瘍がみつかった患者さん
心臓腫瘍はまれな病気ではありますが、
突然患者さんを襲ってくる、無視できない病気です。
というのは心臓腫瘍のタイプによっては悪性度が高く、そのままでは転移したり、
全身を壊すことがあるからです。
悪性でなくても、心臓腫瘍がちぎれて血流に乗って脳へ流れて行けば、
脳梗塞になってしまいます。
いずれの場合もすみやかに治療することが勧められています。
治療は手術が基本です。
心臓腫瘍の多くは粘液腫というゼリー状のもろい状態の腫瘍です。
しかし中には悪性腫瘍や、その他の腫瘍もあり、
もともとまれな病気のためかなりの経験量をもつ心臓外科医でないと初めてとかそれに近い手術となり、
少しでも教科書からはずれた所見があると困ってしまいます。
以下は心臓腫瘍がたまたま発見され、
希望して名古屋ハートセンターへ来られた患者さんからのお手紙です。
その少し前に乳がんが見つかり、手術や薬の治療を受けられたところでした。
不運が相次ぐ形となり、患者さんにはまことにお気の毒でしたが、
前向きに頑張って下さり、
また私たちもこれで不運は打ち止めにしていただこうという意気込みで一緒に頑張りました。
僧帽弁輪から発生し、左房壁の中にうずもれた、
どちらかと言えば悪性度が高い形でしたが、
悪性腫瘍の可能性を考えてそれらを二方向から徹底切除し、完全切除できました。
それを弁形成の経験を活かして再建しました。
顕微鏡で調べて頂いた結果、良性の左房粘液腫でしたが、
粘液腫と言えども、不完全切除すると後で再発することが報告されているため、良かったと思います。
手術はミックス手術(MICS)法に準じた形で小さな皮膚切開で行い、
比較的お若いご年齢の女性の心の負担をなるべく軽くするように努めました。
患者さんも喜んで下さり、努力の甲斐があったとチーム全員うれしく思いました。
私たちはがん治療の専門家ではありませんが、
がんの先生方と力を合わせて心臓病の視点から今後も治療支援をしていく予定です。
なおお便り11も粘液腫の患者さんからのものです。ご参考に。
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米田正始先生
先週7月1日に無事退院することができました。
先生に一言ご挨拶をと思いましたが、ご不在とのことでしたので、お礼も申し上げず失礼いたしました。
この度は私の左房内の腫瘍をきれいに切除していただき大変ありがとうございました。
思えば1月に「乳がん」の告知を受け、胸を切り取られてからのこの半年はつらい日々でした。それでも現実をしっかり受け止め、前向きに治療に取り組んでいた私に、次に告げられた病名が「左房粘液腫」でした。
正直なところ「目の前が真っ暗」というよりは、「今度は何?」という気持ちでした。でも偶然にもハートセンターさんと米田先生のことを知ることができ、あの日思い切って先生にメールでご相談してつくづく良かったと思っております。
先生の手術のおかげで心臓も元気になり、手術の傷跡も小さく外見からはほとんど気にならない程度で、大変ありがたく感謝しております。
2週間の入院中はとても苦しい時期もありましたが、深谷先生、北村先生、小山先生にはとても優しく丁寧に診ていただきました。また看護師さんやヘルパーさんの方々にも親身にお世話していただき、みなさんのおかげで退院できるまでになれたと思います。どうもありがとうございました。
今日はいただいた診療情報提供書を持って**病院に行ってまいりました。中断していたハーセプチンの投与は再開しましたが、放射線治療についてはとりあえず傷が治るまで延期ということになりました。
ハートセンターさんを退院する時は「これで私も健康になれた!」と一瞬うれしく思えましたが、実際は私の場合単に「乳がん治療ができる体になった」というだけのことで、病気との闘いはこれからもまだまだ続きます。
でも必ず元気で健康な体を取り戻すべく、気持ちを強く持ってこれからもがんばっていこうと思います。
私に元気な心臓と明日への希望を与えてくださいました先生に、心より感謝しております。
本当にありがとうございました。
暑さきびしき折、先生もどうかお体ご自愛ください。
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