心臓手術、より良い説明2
Q10. 内科の先生から
「心臓病はあるが大したことはないのでもう病院へ来なくて良い」
と言われました。本当にそれで大丈夫なのでしょうか?→
健診や人間ドックその他で心臓病や大動脈の病気があるかもということで、
内科の外来を受診し、
そこで「大したことはないのでもう病院へ来なくて良いです」と言われ、
そのときに「でももし苦しくなったらおいで」と言われた患者さんが世の中には少なからずおられます。
その後体の調子が悪くなったり、
他の病院の内科をも受診してやはり心配になって
心臓手術の相談もあって
私の外来へ来られた患者さんたちです。
とりあえず元気に見えるかた、
弁膜症の中でも逆流が起こるタイプが多いです。
病気がごく軽ければ定期健診する必要はないこともありますが、
たとえば逆流が中等度に達していたり、
心臓がすでにある程度以上大きくなっているケースなどでは定期健診が必須です。
これはガイドラインにも明記されていることで、
専門家の間では常識です。
もちろんこれは患者さんの安全や利益を考えてのことです。
「大したことはないからもう来なくて良い」
という先生がおられるのでしょうか。
それは多くの場合、
弁膜症や大動脈瘤あるいは心臓手術の詳細をご存じないか、関心がないからです。
前者の場合は、循環器をあまりご存じない先生のパタンですが、
その場合はふつうは専門家に紹介されるため問題はありません。
他の領域の専門家で、
それ以外の病気を診るのは時間の無駄と考えてしまうケースです。
でももしそのままにしておいて急に悪くなって命を落とすなどがあっては訴えられて困るため、
「苦しくなったらおいで」
という逃げ道を準備しているわけです。
弁膜症や大動脈瘤のように、
当初はあまり症状がでない病気の患者さんは、
なにかおかしいと感じられたら複数の医師や病院での意見を求められることが安全安心につながります。
とくに内科と外科の両方で意見を聴くと、心臓手術の詳細をふくめてさまざまな側面が見えて理解が深まるでしょう。
実際、症状がないと思っても、
患者さんの生活の知恵で、無理をせず、
あまり体を動かしていないというケースもよく見られます。
つまり普通の生活ができないほどの症状がすでにあるわけです。
そこをきちんと見抜き、患者さんになるほどと言って頂けるご説明をし、
そして定期健診に納得していただき、
きちんとした定期健診を行ってこそ専門医です。
患者さんが定期健診や心臓手術をいやだと言ったから
それ以上は何も勧めなかったなどという医師が時に見られますが、
これは説明義務を果たしていないという意味で違反行為です。
ただ上述のように、専門医といっても弁膜症には弁膜症の専門医が必要ですし、
狭心症には狭心症の専門医が必要です。
心臓手術の説明には心臓手術を熟知した医師が必要です。
しかしそこまで患者さんにわかりやすい態勢にはなっていないのが、
日本の医療の現状です。
そこでこうした症状が出にくい病気の患者さんやご家族におかれましては
セカンドオピニオンなどの形で良いですから、
複数の専門家の意見を聴くのが安全なわけです。
最近はネットの情報でもある程度はわかります。
こうして良い医療をつくるのは医師だけではなく、
患者さんやご家族を含めた社会全体の協力であることを知って頂ければ幸いです。
さらに付け加えれば、次のタイプの医師は要注意です。
1.「素人はだまってなさい」という医師。
これは素人である患者さんを納得させられない証拠です。
ご自分の不勉強を患者さんのせいにしているともいえます
2.「セカンドオピニオンをもらってきていいですか」と聞くと怒る医師。
これはご自分のやっている治療に自信がない証拠です。
やはり医療は医療者と患者さんおよびその周囲の方々全体の協力が必要なのです。
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