ミックス手術(MICS)と術後の痛み軽減について―軽くなるのは痛みだけ?
著者らのチームでは僧帽弁形成術や三尖弁形成術のときの標準手術の位置を占めつつあります。
ミックス手術が患者さんの安全に何か不利な状況がある場合に限って正中切開します。
私たちの経験ではミックス手術では、創が小さく骨を切らないことが多いためか、
ほぼ100%の無輸血で、早期に社会復帰して戴くことができます。
それだけに若い患者さんたちはもちろん、
安全確報できる場合のご高齢患者さんにもミックス手術を行うことが増えました。
宗教上の理由から輸血ができないエホバの証人の信者さんや
、輸血が危険な不規則抗体をもつ患者さんたちにもミックス手術MICSは役立っています。
先日、内科の先生と雑談歓談している際に、ミックス手術は骨を切らずにすむし、
たしかに良い方法と思うんだけど、
肋骨と肋骨の間には肋間神経があるから痛みが強くないかなあというご質問を戴きました。
私たちもミックス手術MICSの際にはその肋間神経のための痛み対策には心をもちい、
肋間神経ブロックを行うことで術後の快適さと、
それによる早期の社会復帰を促すようにしています。
(写真はミックス手術による僧帽弁手術の女性患者さんで、術後1か月での創部の写真です。
乳腺の下にある小さな創ですのでそのままではほとんど見えません。
創はすぐに治りますので社会復帰が速くなります)
中には痛くない、あるいはちょっとピリピリするだけですと言って下さるかたも多いです。
痛みを訴えた患者さんでも、よくその痛みの内容を聴いてみると、創ではなく、
術後創をかばいすぎて普段使わない筋肉を使ったための筋肉痛でした。
本来の痛みではないため、術後しばらくすると急に訴えが取れたのが印象的でした。
肋間神経ブロックは永久的ではないため、かえって安全性が高いと考えています。
実際、術後痛みがないと喜んで下さった患者さんが、
数週間たって、外来にて最近少し創に違和感があります、
気にならない程度ですが、と教えて下さった方があります。
それはブロックしていた肋間神経が再生し、感覚がもどってきたためと考えられます。
このように、肋間神経をうまく一時的にコントロールし、
患者さんの安全で早い社会復帰を応援することも
ミックス手術MICSの大切な使命でありメリットでもあると考えています。
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