ミックス手術(MICS, 小切開低侵襲心臓手術)によるメイズ手術―切り札がより身近に?
ミックス手術(MICS、小切開低侵襲心臓手術、代表例はポートアクセス手術)が
患者さんに喜ばれています。
あるいは僧帽弁置換術にミックス手術は大変役立っており、
安全性を確保しつつ、手術の質を落とさず、
術後の苦痛軽減・早い社会復帰や少ない輸血とともに創が小さくみえにくいというメリットが喜ばれています。
図で左側は従来の胸骨正中切開のときの創、右側はミックス手術メイズでの創です。
最近はさらに創が小さくなっています。
胸骨正中切開は安定した、良い方法なのですが、
骨をいちど切る必要があるため、
完全に治るまでに2-3か月かかるのが弱点です。
皮膚や筋肉だけなら1-2週間でほぼ治りますから社会復帰が早くなるのは当然かも知れません。
私たちはミックス手術のときには肋間神経ブロックも併せて行うため、
術後の痛みが少なく、それが回復をさらに速めているように感じます。
弁膜症手術と同時に心房細動に対するメイズ手術もミックスで行っています。
僧帽弁や三尖弁の手術ができる以上、メイズ手術も当然できるのですが、
実際にやってみるとその良さがさらに際立ちます。
メイズ手術そのものは左心房の内側から冷凍凝固法をもちいて、完全メイズ手術を意識した形で行い、冠静脈洞の心外膜側も処理をして、よりしっかりと除細動ができるようにしています。
2012年4月の日本不整脈外科研究会で発表しましたが、9例での除細動率は100%でした。
必要に応じて右房側のメイズも行います。冷凍凝固法では食道その他合併症もこれまでありません。
現在のところ、手術の適応は不整脈の薬が効きづらく、
内科のカテーテルアブレーションが不成功であったりできなかったりという患者さんに行っています。
もちろん僧帽弁弁膜症+心房細動などの患者さんでは
以前からミックス手術でも問題なく同時に手術しています。
近い将来、オフポンプ小切開メイズ(内科とのハイブリッド手術です)が実用化するまでは
このミックス手術でのメイズ手術がお役に立ちそうですし、
その後も患者さんによっては良い適応となるケースがあるかも知れません。
いわゆるlone AFと呼ばれる病気に対するMICSメイズの手術事例を供覧します。
(手術事例―準備中)
写真はミックス手術MICSでのメイズ手術の1か月後の創です。
カテーテルアブレーションを2回受けても治らなかった心房細動がきれいに治って喜ばれました。
創は次第に薄くなって行きますが、現時点でも普通の状態ではほとんど見えません。
患者さんの肉体的・精神的負担を軽減するためにも役立っているようです。
心房細動は野球の長嶋さんやサッカーのオシムさんの例を見るまでもなく、
予後が悪い病気で、その悪さは最近まであまり知られていませんでした。
これからはきちんと治し、
あるいはコントロールすることで健康な生活を守れるようにしたいものです。
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