重症僧帽弁閉鎖不全症の治療ガイドライン―症状が軽くても危険なことが?
慢性重症僧帽弁閉鎖不全症の治療ガイドライン (アメリカACCとAHA学会、2006年)
にて、
手術がクラス I (有効性が証明ずみ)で勧められるのは、
■自覚症状があり左室形成術収縮能が保たれている(駆出率>30%、LVDs<=55mm)とき
■自覚症状はないが左室収縮機能が低下している(駆出率60%以下、LVDs>=40mm)とき
さらに、クラス IIa (データ等から有効の可能性高い)として勧められるのは
■自覚症状はなく左室収縮機能も正常(駆出率>60%、LVDs<40mm)だが心房細動の新規発症や肺高血圧症があるとき
■上記で心房細動や肺高血圧症はないが、弁形成が可能なとき
■その他
(注釈:駆出率とは左室の中にある血液の何%を一回の拍動で送り出せるかという数です。LVDsは左室収縮末期の直径です。)
重症の僧帽弁閉鎖不全症では
時間とともに心臓が壊れて、
遅いタイミングの手術では心臓が完全には回復しないことや
手術そのもののリスクが上がることがその背景にあります。
なお日本の僧帽弁閉鎖不全症のガイドライン(日本循環器学会)はこちら (8ページ)をご参照ください。
基本コンセプトは極めて近いです。以下同ページから転載いたします
表17 僧帽弁閉鎖不全症に対する手術適応と手術法の推奨
クラスⅠ(註:有効性が証明済み)
1 高度の急性MRによる症候性患者に対する手術
2 NYHA心機能分類Ⅱ度以上の症状を有する,高度な左室機能低下を伴わない慢性高度MRの患者に対する手術
3 軽度~中等度の左室機能低下を伴う慢性高度MRの無症候性患者に対する手術
4 手術を必要とする慢性の高度MRを有する患者の多数には,
弁置換術より弁形成術が推奨され,
患者は弁形成術の経験が豊富な施設へ紹介されるべきであること
クラスⅡa (註:有効である可能性が高い)
1 左室機能低下が無く無症状の慢性高度MR患者において,MRを残すことなく90% 以上弁形成術が可能である場合の経験豊富な施設における弁形成術
2 左室機能が保持されている慢性の高度MRで,心房細動が新たに出現した無症候性の患者に対する手術
3 左室機能が保持されている慢性の高度MRで,肺高血圧症を伴う無症候性の患者に対する手術
4 高度の左室機能低下とNYHA心機能分類Ⅲ~Ⅳ度の症状を有する,器質性の弁病変による慢性の高度MR患者で,弁形成術の可能性が高い場合の手術
クラスⅡb (註:有効性がそれほど確立されていない)
1 心臓再同期療法(CRT)を含む適切な治療にもかかわらずNYHA心機能分類Ⅲ~Ⅳ度にとどまる,
高度の左室機能低下に続発した慢性の高度二次性MR患者に対する弁形成術
クラスⅢ (註:有用でなく有害)
1 左室機能が保持された無症候性のMR患者で,弁形成術の可能性がかなり疑わしい場合の手術
2 軽度~中等度のMRを有する患者に対する単独僧帽弁手術
左室機能 (LVEF またはLVDs による)
正常 :LVEF ≧ 60%,LVDs <40 mm
軽度低下 :LVEF 50 ~ 60%,LVDs 40 ~ 50 mm
中等度低下 :LVEF 30 ~ 50%,LVDs 50 ~ 55 mm
高度低下 :LVEF < 30%,LVDs >55 mm
肺高血圧症
収縮期肺動脈圧>50 mmHg(安静時)または> 60 mmHg(運動時)
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