収縮性心膜炎―心臓「周囲」の病気ですが重くなると危険な状態に
収縮性心膜炎は一般にはあまり知られない病気ですが、
ちょくちょくある病気で、
重い心不全を起こすことがあり、放っておけば危険なこともある病気です。
心臓の外側に「心膜」という組織があります。
この心膜が袋のような形で心臓を覆い守っています。
左図がその正常の姿です。
この心膜が何らかの原因でぶ厚く、硬くなり、まるで鎧(よろい)のように心臓を包んでしまい、
そのために心臓が動きにくくなり心不全になるのが収縮性心膜炎です。
右図のように、心臓の内側が悪くなくても、
心臓を外から閉じ込めた形となるため重い心不全が発生します。
原因としてかつては結核が多く、ついでウィルス性の感染が挙げられます。
また過去の心臓手術も原因となり、
とくにその手術のあと出血が多かったり、
術後心臓周囲に血液を含んだ水がたまっていたケースなどでも起こりやすい印象があります。
カテーテルによる冠動脈治療(略称PCI)で冠動脈を破ったケースでは、
たとえ出血が収まっても後日収縮性心膜炎が発生することが知られています。
収縮性心膜炎では下肢や顔がはれたり、肝臓が膨れてお腹が張ったりします。
また少し歩いただけでも息切れが起こります。
肝臓が腫れたままではうっ血性肝障害がおこり、
さらに進めばうっ血性肝硬変となり命を落とします。
診断はエコーやCTで分厚くなり硬くなった心膜をみつけ、
またそのために心臓の動きが抑えられているのがわかればつきます。
場合によってはカテーテルを心臓に入れて右房や左房の圧が高くなり、
また心室の圧のパタン(dip and plateau ディップとプラトーと呼びます)からも正確な診断がつきます。
収縮性心膜炎の治療は、軽症なら利尿剤などのお薬で行けますが、
重症になるとお薬でも追いつかなくなります。
この状態ではすでに肝臓のうっ血から危険な状態が近づいていることも多く、
肥厚した心膜を外科手術で切り取ることが必要となります。
心臓の前側、左右、そして横隔膜側などの分厚く硬い心膜を取り去れば心臓への圧迫が取れて改善します。
私たちはオフポンプ冠動脈バイパス手術の経験を活かして、
心臓を無理なく脱転つまりひっくり返し、
分厚く硬くなった心膜をなるべく全部取り去るようにしています。
そうすることによって症状が完全にとれ、予後が改善する可能性が高くなるからです。
今後硬くなる組織を残さないというのは安心感も高まるでしょう。
(参照:患者さんのお便り)
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