心臓手術と社会復帰の早さについて―早く元気に社会復帰できる手術を
心臓手術のあとどのくらいの期間で社会復帰とくに仕事復帰できますか、というご質問をよく戴きます。
当然とはいえ、重要なご質問です。
心臓手術は単に生き延びるだけでなく、積極的に社会復帰したり、やりたいことをやれる体力を取り返すため、
医学的に言えばQOL(生活の質)を上げるために受けることを考えれば、当然の大切なご質問です。
さて社会復帰の早さは、
1.心臓手術の内容
2.手術前の心臓のパワーと手術後の回復の度合い
3.患者さんの年齢・体力・足腰の強さ・他の病気の有無
などによって左右されます。
いっぱんに胸骨正中切開(胸の前にある胸骨を真ん中で縦に切り、
心臓内を治してから胸骨をもとどおり再建します)のあとは
術翌日から動いたり立ったり歩いたりし、
翌々日から歩く距離を伸ばし、
デスクワークなどは術1-3週後から再開。
力仕事や、それほど重労働でなくても、
荷物を棚の上に乗せたり長距離を運転するなどは術後2-3か月というのが平均的です。
もちろん上記の1.-3.のように、元気な人では術後5日目から職場復帰されることもありますし、
ご高齢でもともと足も悪く体力もない方ではじっくりと時間をかけて運動を増やし体力を養うようにして戴きます。
かなり個人差はあります。
患者さんの社会復帰を応援できるよう、たとえば心臓の状態もよく体力もあり、
かつ職場が気になる方であれば、心臓手術後5日目から職場に指導に行っていただき、
その日の用事が終わればまた病院へ戻って頂くなどの工夫をすることもあります。
安全な範囲内で柔軟に対応しています。
また胸骨を切り、再建するために肉体労働などの復帰が遅れることに対処するために、
MICS(ミックス手術、ポートアクセス法)という小開胸手術を行っています。
ただし安全第一の基本は守り、MICSで手術しても安全が確保できる方に限定しています。
これによって術後3-4週間でかなりの仕事ができるようになります。
MICSでは骨は切らず、皮膚と脂肪、筋肉を切って心臓に到達するため、治りが早いのです。
もちろんいくら経過が良くても無理をせず、必要な注意をすることは大きな利点があります。
たとえばいきなり睡眠不足をするとか残業するなどの強制力のかかるような仕事をするのは控えて頂いています。
またいくら心臓手術で良くなったと言っても、
強い息切れが起こらない範囲の運動量にしていただいています。
わかりやすく申せば、周囲にいる方と雑談ができる範囲内の運動量にしていただいています。
これはオーストラリアの心臓リハビリの方法で、
科学的根拠のある安全で安価な良い方法です。
たとえば海外や九州・北海道などの遠方から来て下さった患者さんには、
相談のうえ、ゆうゆうと帰宅できる体力になってから退院いただくとか、
近くの病院とタイアップしてそこでしばらく体力増進を図っていただくとか、
近場の患者さんでは心配ならいつでも来ていただく、
あるいは遠方では連絡していただき、
こちらから近くの病院にお願いするなどの配慮をしています。
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