心臓手術と美容について―美容より安全が大切です。しかし美容にも有利に、、
心臓手術はかつては生きるか死ぬかの大仕事で、
美容どころではないという印象がぬぐえませんでした。
現代でも他の臓器の手術と比べれば
まだまだ注意して大事にやるべき大事業であることに変わりはないと思いますが、
それでも多くのケースでは安全性がきわめて高くなり、
より早い社会復帰やなるべくきれいな美容上の状態をという考えが増えてきました。
私たちは安全第一という観点から心臓手術であまり美容を追及して来ませんでしたが、
安全が高くなった分の余裕を、
安全な範囲内で少しは美容にも振り向けてもよいと考えるようになりました。
以前から女性患者さんなどでご希望の方に、
なるべく小さい皮膚切開とくに胸の上の部分(首の少し下のところ)の皮膚切開はなるべく小さくし、
夏などに創が少しでも見えにくくするようにして来ました。
最近はミックス手術(MICS、ポートアクセス法、小切開低侵襲手術のことです)の器械が進歩しましたので、
それを活用し、
安全確保できるケースで右開胸、小切開手術を行うようにしています。
私たちは以前から右開胸による同様の手術を再手術、再々手術、再々々手術などでの三尖弁や僧帽弁手術などで行ってきました。
もちろん安全性向上の目的です。
また心房中隔欠損症ASDなどの安全な手術でも患者さんのご希望などを勘案して多数行って来ました。
主に僧帽弁形成術や三尖弁形成術、
メイズ手術、あるいは僧帽弁置換術などでミックス手術を標準手術と考えています。
またこの手術法のために開発された新しい手術器械が役立っています。
このように私たちのミックス手術は一義的には安全な範囲内で早い社会復帰を促すことを目的としていますが、
創部が普通の服では見えないため結果的に美容上も喜ばれています。
上の写真はミックス手術での僧帽弁手術後1か月の写真です。
創は乳腺を持ち上げないと見えません。
その下にある小さな創は術後の安全のための管(くだ)を入れた跡ですが、これは次第に消えて行きます。
最近はその小さな穴も最小限の個数になっています。
左の写真はミックス手術MICSによる僧帽弁形成術を受け元気になられた女性です。
もはや創はほとんどわかりません。
患者さんの心の負担を軽くするのに役立つことでしょう。
しかし安全の確保と、まず生きること、
ついで長期間元気に生きることを優先する、
そのうえで早期の社会復帰や快適さ、
そして美容上のメリットという順番という心臓手術の基本方針は忘れないようにしています。
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