心臓腫瘍について―しっかり取って確実に再建すればほぼ治せる
心臓腫瘍という病気はあまり知られていないと思いますが、
少数ながら存在し、患者さんにとってはその確実・的確な治療が大切です。
心臓腫瘍の多くは良性腫瘍ですが、ときに悪性のものもあります。
腫瘍の一部がちぎれて血流に乗って飛べば脳梗塞などを起こすものもあり油断できません。
ここでは大人の心臓腫瘍で主なものを挙げます。
1.粘液腫(ねんえきしゅ):
心臓腫瘍で一番多く、3分の1を占めるものです。とくに左房粘液腫が多いです。
腫瘍がちぎれて飛ぶと脳梗塞などの問題が起こるため、速やかに手術することが必要です。
2.弾性線維腫:
心臓の弁に発生しやすく、ちぎれて飛ぶという心配があります
3.脂肪腫:
厚い脂肪組織のように見えることもあります
4.その他の良性腫瘍:
横紋筋腫、線維腫、血管腫、房室結節中皮腫、奇形腫などなど
3.転移性悪性腫瘍:他の臓器のがんが心臓まで転位したものです。
次項の原発性悪性腫瘍の30-40倍と多いです。
肺がんや乳がんの患者さんの10%で心臓への転位が見られます。
悪性黒色腫では75%に心臓転位が認められます。
4.原発性悪性腫瘍:
心臓からがんが発生したものです。
大変稀で2000人に一人の頻度という報告もあります。
悪性中皮腫、肉腫、悪性リンパ腫などが代表的です。
米田正始がこの病気に経験が豊富なためか(トロント大学で多数経験しました, 英語論文156参照)、名古屋ハートセンターにはこの原発性悪性腫瘍の患者さんが全国から来られる傾向があります。
地元や他科・他病院の先生方と協力して、できるだけお役に立てるように努力しています。
なおこどもの心臓腫瘍では、良性腫瘍で一番多いのは横紋筋腫で40%を占め、
ついで線維腫が挙げられます。
それぞれの心臓腫瘍の詳細は別頁にゆずります。
心臓外科の観点からはできるだけ腫瘍をすべて切除し、再発を防ぐとともに、
心臓の機能が損なわれないように確実な再建を行うことが重要と考えます。
とくに悪性度が高く、まだどこにも転移していないという状況のときには完全切除をめざし、
そこでできた大きな欠損を確実に再建することが予後を改善し患者さんの寿命を長くするのに役立ちます。
大動脈・肺動脈などの血管形成術、
さらに左室形成術などの経験が役に立ちます。
逆に心臓のさまざまな部分が再建できるからこそ、腫瘍を完全に切除できるわけです。
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