手術事例: 気管支喘息をもった高度な大動脈弁狭窄症の患者さん

COPDのためバレルチェストになっておられました 患者さんは79歳女性です。

圧較差140mmHgの大動脈弁狭窄症のため来院されました。

左室壁厚は16-17mmと左室肥大著明でした。

他に気管支喘息、高血圧症、  入院中の心エコードップラー画像 高脂血症をお持ちでした。

全身麻酔下に胸骨正中切開しました。

上行大動脈の遠位部で通常大動脈遮断する部位に直径1cmのプラークが認められ、脳塞栓防止のためここを避けてすべての大動脈操作をするようにしました。

体外循環・大動脈遮断下に上行大動脈を横切開しました。(術中写真工事中)

大動脈弁は3尖でいずれも強く肥厚・石灰化し相互に癒着していました。これを切除し、弁輪まで及ぶ石灰をすべて摘除しました。

ウシ心膜弁21mmを逢着しました。狭小弁輪の傾向がありましたが、この患者さんの体格に必要なサイズであるため工夫して入れました。必要あらば弁輪拡大を行えばよいのですが、弁輪拡大なしで行ければそれだけ短時間に低侵襲(体への負担が少ないこと)で手術できるので、工夫したわけです。

上行大動脈を二層に閉じ、エア抜きののち大動脈遮断を解除しました。
カテコラミンを使用することなく体外循環を容易に離脱いたしました。経食エコーに良好な大動脈弁機能と心機能を確認しました。

止血ののち、心膜を閉じ、閉胸し手術を終えました。

術後の大動脈弁(生体弁)は良好な機能と状態となりました。 術後経過はおおむね順調で、血行動態良く出血も少なく、神経学的問題もなく、術翌朝抜管し、一般病棟へ戻られました。もともと気管支喘息をお持ちのため呼吸器の管理・治療にも力を入れ、早い時期から呼吸訓練や運動を開始しました。その後も経過順調で元気に退院されました。

術後1年でお元気に暮らしておられ、大動脈弁(生体弁)も心機能も良好で、左室壁厚も12-14mmまで改善しつつあります。

大動脈弁狭窄症は高度になれば手術前は突然死の心配もあり要注意です。しかしいったん手術を乗り切ればあとはかなり安全性が高まります。このケースのように気管支喘息などの肺疾患があっても心臓の状態が改善しているため比較的工夫がしやすいです。

ただ肺疾患のために入院期間が長くなることがあり、それを避けるために、上記のようにできるだけ手術をコンパクトにまとめ上げる、熟練度を活かして短時間で仕上げるようにしています。

3) 大動脈弁 ②大動脈弁狭窄症ではどんな注意を?

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最終更新日時

  • 平成22年 9月2日(木曜日)