14) 三心房心
文字通り心房(血液を一瞬ためておくプールです)が通常2つあるのが何らかの原因で3つになったものです。
比較的まれな病気です。
左房が2つになるケースが多く、
その2つの左房の間の異常な隔壁に小さな穴があいていて、
その穴ごしにかろうじて血液が本来の左房に届くという形になる場合が多いです。
左図に一例を示します。
(ちょっと専門的になりますがLucas-Schmidtルーカス・シュミット分類という分類法で三心房心のIA型となります)
そのため血液の流れからみると、左房から左室へ血液が流れにくい僧帽弁狭窄症に近い形となり、症状も似て来ます。
たとえば階段や坂道を登ると息切れがしますし、動悸がすることも年々増えて行きます。
左房に無理がかかり心房細動という不整脈(脈が不規則ばらばらになります)になれば油断すると血栓が左房内にでき、
それが血流に乗ってもし脳へ流れていけば脳こうそくにもなりかねません。
三心房心はまた他の先天性心疾患を合併することが多い病気です。
たとえば心房中隔欠損症(略してASD)や部分肺静脈灌流異常(肺静脈の一部が右心房や静脈に流れ込みます)その他の病気とセットになっていることも多いです。
2つある左房の肺側にASDが開いている場合は多量の血液がASD越しに右房へ流れ、より重症になりやすいです。
また部分肺静脈灌流異常があるときも肺に流れる血流が増えすぎて重症化しやすいです。
三心房心の治療は心臓への負担や症状が軽ければ薬でなんとかいなせますが、基本的に は手術が必要です。
肺から心臓へ帰って来た血液を左室まできちんと誘導する、これが手術の基本です。
私たちはこれに加えて、心房細動があればそれをきちんと治し、
将来の脳梗塞のリスクを減らすだけでなく、ワーファリンそのものを不要とすることを目指しています(ワーファリンフリー方針)。
これまでの心房細動への強化メイズ手術の実績からは、
20年ものやそれ異常の長期の心房細動でも治せている(除細動と呼びます)実績をもとにして、
三心房心の患者さんにも同じ努力をしています。
また成人先天性心疾患として来院されるため、
こどもと大人の両方の視点をもってチームワーク・チーム医療を行うため、
こども病院の経験豊かな先生にも来ていただき、確実な治療を行うようにしています。
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