開業医・かかりつけ医の先生や心臓血管以外を専門とされる先生へ
私の父は開業医です。まだ現役でそれなりに頑張っています。長年その仕事ぶりを見てきたため私自身、開業医やかかりつけ医・プラマリケアの喜びも苦労もある程度わかる気がします。私は国立大学病院で勤務していた頃には規定により親族が経営する医院での仕事は非常勤やボランティアでもできませんでしたが、現在は融通が効く私立病院勤務のため、土曜日に時折父のクリニックで代診をしています。循環器の患者さんを診察・管理するだけでなく、他領域の患者さんを診るたびに知識を補充し、疑問点はUpTodateなどで調べ専門医にコンサルトなどして自分の生涯教育の一環にしています。あらゆる病気・疾患が対象であるためその守備範囲の広さと全身を診るヒューマンさには格別のものを感じます。
よく開業医の先生が冗談まじりに「私は数字が嫌いなので心臓は専門にしなかった」と言われることがありますし、心臓が得意な先生も細分化した心臓血管外科の治療法や心臓手術の適応にはなかなか勉強が追いつかないと言われます。
このことは守備範囲が圧倒的に広い開業医の先生だけでなく、専門分化した循環器の各領
域の中でさえもしばしば見られます。たとえば冠動脈インターベンションが専門の先生が大動脈弁閉鎖不全症の若者の手術適応を考えるときに、人工弁のみ考えて左室の拡張や機能低下を待っているうちに弁が傷んで、大動脈弁形成術のタイミングを逃してしまった、とか狭心症の患者さんのPCIを一生懸命やっているうちにどうもおかしいということになり、調べてみれば急性大動脈解離であわや失うところだったなどの逸話があります。あるいは重度の僧帽弁閉鎖不全症で一見あまり症状のない患者さんを「症状が出るまで」と放置していたなどですね。これで僧帽弁形成術のベストタイミングを逃すならガイドライン違反です。
専門家にとって他の専門領域は近くの領域であってもそれほど難しいわけです。いわんや守備範囲が恐ろしく広い一般内科やプライマリケアを専門とされる開業医の先生にとっては心臓疾患の細かな診断や心臓手術適応は結構な重荷となることがあります。
そこで開業医の先生や、循環器・心臓血管を専門としない他領域の先生におかれましては、胸痛(労作時や安静時)あるいは心不全症状(労作時息切れ、起座呼吸、下腿浮腫、など)、ふらつきや失神があり、さらに心雑音やレントゲン上の心拡大や心電図異常、心エコー所見などのいずれかがあり、どうも気になる、大丈夫だろうかというケースの場合は、「疑い」診断の段階でも循環器内科のみならず心臓外科にコンサルトされるのは一法と存じます。
もちろん心臓病の全体像が良く見えるタイプの循環器内科医にご相談されるのが手っとり早いとは思いますし、私たちも適宜そうした循環器内科のご意見を頂くようにしていますが、心臓手術適応ライン・ガイドラインを適宜お示ししながら手術適応の有無などをご報告することで客観性を確保できます。
手術適応が直ちにはない場合でも、無視できないような病変があれば、年一度などの定期検診を心臓外科の方で行うことで、急に悪化した場合でも迅速に対処できやすくなり、患者さんはもとより、開業医の先生の負担やリスクを減らすことが可能となります。
最近は患者さんの中に良く勉強される方が増え、将来もし緊急で心臓手術が必要になったときに備えて自ら心臓外科に「顔つなぎ」受診されるかたが珍しくなくなりました。賢明なことと思います。
人間のあらゆる病気・疾患を守備範囲とされる開業医・かかりつけ医の先生や心臓以外を専門とされる先生におかれましては、心臓外科の専門医を活用され、時間の無駄なく安全安心を確保されるのも良策と考えるものです。名古屋ハートセンターにて手術関係のご相談をご希望されるときは予約時(ご紹介時)に米田副院長希望と言って頂ければ米田が責任もって対応致します。
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