①b 心臓弁膜症の動向について
心臓弁膜症が増えています。かつて、つまり30年以上前はリウマチ性弁膜症が主体でその原因である溶連菌感染や炎症が抗生物質その他でかなり解決されたためリウマチ性弁膜症は次第に減少して行きました。
ところが高齢化社会を迎え、加齢性または変性と呼ばれる心臓弁膜症が増え、弁膜症全体の数をむしろ増やすようになりました。さらに食生活が欧米化して動脈硬化が増え、同じメカニズムで硬化性の弁膜症が増えました。EBMデータでは80歳代になりますと硬化による大動脈弁狭窄症が急増することが示されています。
著者(米田正始)が医学生のころは心臓弁膜症は過去の病気と教えられたのですが、時代とともに国民の生活や社会背景が変わり、いまや心臓弁膜症は先進国での現代病となりました。
心臓弁膜症のここの病気につきましてはこのWEBの解説ページをご覧ください。
大動脈弁狭窄症のように重くなると突然死する病気や、大動脈弁閉鎖不全症のように症状が出るころにはしばしば心臓がうんと大きく悪くなっているなどがあり、定期健診や症状(息切れ、胸痛、ふらつき、めまい、動悸)などがあれば専門医受診を勧めます。心エコーなどの痛みなく安全な検査で大半の状況はわかりますので検査は受け甲斐があります。
僧帽弁閉鎖不全症では息切れや動悸がでれば注意が必要です。ときに血栓が脳に流れていって脳梗塞になる方がおられます。エキスパート心臓外科医ならほとんどの患者さんで弁形成術つまり弁の修復で良くなり、手術のあと、ワーファリン(血栓予防のお薬で出血を起こすことがあるのと毎月病院に通って検査を受ける手間がかかります)が無しで行けるという大きなメリットがあります。
三尖弁閉鎖不全症は通常は弁輪形成術で治りますが、ペースメーカーケーブルによる三尖弁閉鎖不全症は弁輪形成だけでは治しづらく、私たちが開発した弁形成術で良くなります。治すタイミングが遅くなりすぎると肝うっ血から うっ血性肝硬変へと進展悪化し命を落とします。またあまり肝臓が弱ってからは心臓手術(三尖弁手術)の危険性が高くなってしまいます。肝臓が手術負担に耐えられないからです。三尖弁膜症では足や顔のむくみやお腹の張り、全身の疲れ倦怠感などにもご注意ください。おかしいと思えば一度外来に来て頂ければ安心できます。
このように心臓弁膜症は治せる病気です。しかしタイミングを逸すると命にかかわる手ごわい病気でもあります。とくに肝臓その他の臓器がやられてしまうとリスクが上がります。普通の大動脈弁置換(人工弁に変えます)や僧帽弁形成術(弁を修理します)なら手術で命を落とすリスクは1%程度ですが、全身の状態が悪くなるとリスクは高まってしまいす。心臓弁膜症の患者さんやそのかかりつけ医の先生方には早めにご相談頂ければより安心して頂けます。軽症でしたら状態に応じて1年ごとのフォローとか、半年ごととか、「無罪放免」などの方針が立ちます。
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