3b) 腹部大動脈瘤―破れれば致命的、しかし本来はすべて治せる病気?
腹部大動脈(お腹の中にある大動脈)が動脈硬化や壁そのものの弱さなどのために拡張し、こぶ状に大きくなったものを腹部大動脈瘤と呼びます。
腹部大動脈は正常では約20mmほどですので、30mmを超えれば瘤となります。
通常は無症状で、痛みなどはありません。
瘤の中では血の流れがよどんで血栓を造ることが多く、
これが何らかの原因ではずれて下肢に流れて行けば、下肢に痛みが起こることはあります。
そのように自覚症状はほとんどないのですが、外からお腹を触れれば、おへその付近に膨らんだこぶのように触れます。
痩せた方ほどよく触れます。
拍動していることも特徴の一つです。
動脈硬化の強い方で腹部大動脈が蛇行している場合には瘤がなくてもこぶのように触れることもあります。
なお腹部大動脈瘤が破れるときには破れ始めの時期(切迫破裂と呼びます)に強い症状があります。
後ろ側(背中側)へ破れれば腰痛が起こりますし、
前側(お腹側)に破れればお腹が張り、まもなく出血多量でショック状態となり命の危険にさらされます。
腹部大動脈瘤の疑いがあれば検査することによって診断は比較的容易です。
CTスキャンか腹部エコーで瘤が確認できれば診断は確定します。
腹部大動脈瘤は直径45mmになれば破れる可能性が高くなり、
直径50~60mm台で破裂する確率は年間約7%となります。
70mmを超えると年間約20%に急増します。
定期検診で一年に5mm以上大きくなる瘤、
あるいは大動脈の一部だけが膨らむような いびつな形の瘤では小さくても破裂の危険があり、要注意です。
これらの条件を一つでも満たせば手術が推奨されています。
手術には通常の手術によって腹部大動脈瘤を人工血管で置き換える方法と、
ステントグラフト(EVAR)を用いて瘤の内側に人工血管を入れて固定する方法があります。
前者はどのような瘤にも対応しやすく確実な治療効果が期待でき、
後者は瘤の部位や形などの制約があり、長期成績も未知ながら小さい創で済むという利点があります。
それぞれの特長を活かすようにしています。
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