3b) (大動脈弁)二尖弁につきまして―弁だけでなく大動脈にも注意
大動脈弁は通常 3尖つまり開閉する部分が3つありますが、そのうちの2つが分離発育せず、結果として開閉部分が2つになることがあります。
これを二尖弁と呼びます。
実際大半の方々はとくに治療をせずに一生を送れるというデータも報告されています。
しかし同時に、開閉部分が2つというのは力学的にやや無理があり、
次第に弁が壊れて狭窄症(きょうさくしょう、つまり狭くなること)や
閉鎖不全症(へいさふぜんしょう、つまり逆流すること)などが起こります。
この度合いが強くなり、心臓に負担が重くかかるようになれば、手術が必要になります。
逆に、手術によってきちんと治すことができるともいえます。
手術はなるべく大動脈弁形成術を行いますが、
弁の破壊が高度であったりご高齢で生体弁のほうが患者さんにとって有利な場合は大動脈弁置換術を選びます。
患者さんの状態・状況によって小さい創でミックス手術(MICS手術)あるいはポートアクセス手術をもちいることもあります。
同時に二尖弁の患者さんは大動脈が構造的に弱くなっていることが近年知られるようになりました。
とくに上行大動脈の外側(患者さんからみて右側)が拡張し、あまり大きくなりすぎれば破裂の心配がでて来ます。
現在は大動脈基部から上行大動脈全域そして近位弓部大動脈までが瘤になるというデータが出ています。
同じ高さの肺動脈も同じですが、こちらの方は圧が低いため問題ないことが多いです。
そのため二尖弁大動脈弁の手術に際して、大動脈が将来破れそうな状況のときは、これも併せて治すようにしています。
高齢者などではより低侵襲の、つまり体への負担が少ない方法で治すことで安全性を高めるようにしています。
同じ理由で二尖弁の患者さんは、たとえ現時点ではとくに手術などの必要がなくても、
何らかの形で定期健診し、たとえば年一度などでもチェックし、大動脈瘤で命を落とすことのないようにしています。
この点、マルファン症候群などの結合組織疾患の患者さん(大動脈が弱く瘤になりやすい)と同じ態勢で安全確保に努めています。
私の患者さんのなかには、かつて他の「心臓専門」の先生から「大したことはないから次回は厄年においで」とか「何かあったらまたおいで」ということで定期健診さえやってもらえなかった方が複数あります。
これらの方々はたまたまネットなどで調べて、このままでは危険と知り、来院されたのです。
このように「心臓専門」の先生でも二尖弁をよく知らないというケースもあるため、
二尖弁と言われたら、二尖弁をよく理解し、多くの患者さんを助けているエキスパートに相談することが勧められます。
大動脈弁二尖弁は生まれた時からの状態ですので、このWEBでも先天性心疾患のページでご説明しています。そちらもご参照ください。
前述のように二尖弁そのものは病気ではありません。
しかし将来病気を発生する可能性があるため、専門医に定期健診を受けることが勧められています。
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