13) 修正大血管転位症―弱い全身ポンプをどう守る?
修正大血管転位症は他の合併病変がない場合、血液の流れ方は健康な方と同じです。
ただし左心室と右心室が入れ替わっています。
つまり本来の左心室の位置にパワーの弱い右心室が入っているわけです。
この右心室を解剖学的右心室と呼びます。
三尖弁閉鎖不全(普通の心臓でいう僧帽弁閉鎖不全症に相当)、
完全房室ブロック、WPW症候群
などを合併しやすく、合併した場合はそれぞれに対して治療が行われます。
そうした合併病変がない場合でも、もともとパワー不足な右心室が左心室の重労働をするなかで次第に疲労が蓄積し、心不全や三尖弁閉鎖不全症などの二次的病変を起こします。
そのため患者さんが成人され、ある程度の年齢に達すると心不全等のため亡くなってしまうことがこれまで多かったわけです。
この状態はある意味で、拡張型心筋症の状況に近いといえましょう。
拡張型心筋症といえば、世間的にはもうダメと思われがちですが、その治療に力を入れてきた私たちには、むしろ治せる可能性のある病気ととらえました。
つまり成人に達した修正大血管転位症の患者さんでも、解剖学
的右心室にある程度のパワーが残っていれば、
三尖弁閉鎖不全症その他を含めた合併病変を治すことで、つまり拡張型心筋症に近い治療を行うことで、
もっと長生きし、あるいは生活の質(QOL)を高めることができるはずと考えたからです。
(手術事例 修正大血管転位に弁膜症と心不全を来した高齢患者さん)
より多くの修正大血管転位症の患者さんが長く楽しく暮らせるよう、治療法を進化させる必要があります。
進歩著しい補助循環(ある種の人工心臓)や、いずれ再生医療で心筋(心臓の筋肉)のパワーアップを図ることも研究しています。
このように私たちも及ばすながら努力を積み重ねています。
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