僧帽弁逸脱症
僧帽弁の開閉部は2つの部分からなり、前の方にあるものを前尖、後ろの方にあるのを後尖 と呼びます。
この前尖または後尖がかみ合わず、左房側に落ち込む状態を「僧帽弁逸脱症」とよびます。
僧帽弁逸脱症そのものは病気ではなく、手術もお薬もそれ自体だけでは不要です。しかしその前尖または後尖の落ち込みが強くなり(下図、前尖と後尖が基準線より左房側に落ち込んでいます)、弁が閉じるべき時に閉じられなくなると、血液が左房向きに逆流します。これは僧帽弁閉鎖不全症と呼ぶ状態でこれが強くなると病気の範囲に入ります。
僧帽弁逸脱症が僧帽弁閉鎖不全症となり、肺などのうっ血や心不全などに進んでしまうと内科治療(安静やお薬などで症状を和らげ体調を改善します)が必要となり、さらに悪化しますと死亡率が高まるため外科治療(手術)が必要となります。手術では多くの場合、僧帽弁形成術で治り、ワーファリンなどのやや手間のかかるお薬もなしで行け、普通の生活にもどれます。
そのため僧帽弁逸脱症の方には定期健診をお勧めします。一度外来にて心エコーその他の基本検査(痛みや苦痛や危険性がほとんどありません)を撮り、その所見に応じて1年ごと、あるいは3年ごとなどの期間をおよそ決め、フォローしていくことで安全性が高まります。一度検査しておけば、次回の検査のときに比較できますので検査がより正確になります。
なおマルファン症候群など、弁組織が弱い方の場合は通常よりやや密なフォローが勧められます。たとえば3年に1回のところを1年に1回として早めの対応ができ、かつ安心できるようにするなどですね。
それから、僧帽弁逸脱症の方は感染性心内膜炎になりやすいというデータが知られています。けがや抜歯などの際には傷をきれいにしたり抗生物質を前もって使うなどの注意が勧められます。そのあとに熱が出て下がらない場合は早めに専門家に相談するのも大切です。
繰り返しになりますが僧帽弁逸脱症そのものは病気ではありません。ただし病気予備軍と言えるケースがあるため、うまく定期健診を行えば安心安全につながります。
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