3b) 心不全の手術について

心不全の治療方法の中に手術があります。昔は薬中心だったので、現在もなじみが薄いという方々もあるが、外科治療つまり手術は間違いなく心不全の治療法の一つです。

心不全とは心不全とは心臓が十分動けなくなる危険な状態です

まず心不全とは心臓が十分に血液を全身に送れない状態で、これは心臓に血液が戻りにくい状態も含まれる。少し専門的には前者を収縮機能不全、後者を拡張機能不全といいます。また正確には左心不全(左心=左心室と左心房)と右心不全(右心=右心室と右心房)があり、しばしば両心不全(=左心不全+右心不全)となります。

心不全は原因によって治し方もちがってきます

心不全にはさまざまな原因があり、その結果起こった心臓の不全状態ですので、病名というより症候群名です。そのため心不全の治療といっても、まずその原因を治すことが肝要なため、治療法もその原因疾患によって異なります。

たとえば心筋梗塞などのために心不全になったのであれば、心臓の虚血(つまり冠動脈が狭 くなるか閉塞します)を治したり、心筋梗塞のために壊れた部分を修復するあるいは守ることが心不全の治療になるわけです。

弁膜症のために心不全になったのであれば、その壊れた弁を治すあるいはそのためのうっ血などを軽減するところから治療が始まります。

心筋症 (特発性心筋症心筋炎サルコイドーシス左室緻密化障害など)が原因で心不全になったケースでは、できるだけ心筋への負担を減らす、全身への負担を減らすことなどが治療の主体になります。

心不全に対する手術とは

ここで外科治療つまり手術でどういうことが心不全の患者さんに対してできるかを述べてみます。

オフポンプ冠動脈バイパス手術の出来上がり図です心不全が心筋梗塞によって起こった場合: 冠動脈の狭窄があるためできるだけ冠動脈バイパス手術で虚血を治し、すでに心筋がダメになった左室壁に対しては適応があれば(つまりやった方が患者さんに役立つ時に)左室形成術(ドール手術やセーブ手術あるいはバチスタ手術など)を行います。今ひとつ重要なのは、心不全になると僧帽弁閉鎖不全症がよく起こるため、それが強ければ僧帽弁形成術で治すことです。

心不全が弁膜症によって起こった場合:まずその原因になった弁を修復(弁形成術で)または人工弁に取り換え(弁置換術で)します。しかし左室の心筋がすでに壊れていて戻らない場合は左室形成術によって修復することも時にあります。重症心不全の中には外科手術で改善できるものがあります

心不全が心筋症によって起こった場合: 左室の壊れた部分を左室形成術で修復したり、左 室全体が大きくなりすぎて心不全になったタイプでは左室形成術で左室全体の大きさと形を整えます。また心不全のためにしばしば僧帽弁閉鎖不全症が起こるため、それが強ければ僧帽弁形成術を行います。場合によっては僧帽弁形成術のみ行うこともあり、それは患者さんの状態を詳しく調べてケースバイケースで行います。

しかし上記の外科(手術)・内科治療でどうにもならないほど心臓が壊れている心不全の場合は、補助循環(人工心臓)さらには心移植が必要となります。これは移植センターや大学と相談しながら、場合によっては転院して頂いて治療を受けていただけるよう進めます。

まとめ

こうして全体を見ますと、心不全の治療の中で、内科的治療(お薬や点滴その他)ではカバーできないところを外科的治療(手術)がになっており、うまく組み合わせてチーム医療として考えるのが患者さんを救うために大切であると言えると思います。

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最終更新日時

  • 平成22年 7月26日(月曜日)