4b) MIDCAB(ミッドキャブ)手術とは?―小さい切開、大きな効果?
MIDCABとはアルゼンチンで生まれ1990年代に世界中に広がった小切開左開胸をもちいたオフポンプバイパス手術です
(左図の赤い線がMIDCABの皮膚切開線です)。
まもなく日本にも導入され一時は話題になりました。
限られた冠動脈にしかバイパスできないこと、
まもなく出現した正中切開のオフポンプバイパス(右図、赤い線が皮膚切開線です)の方が自由度が高く便利なこと、
などの理由から下火になりました。
豊橋ハートセンターでは大川育秀先生らがこのMIDCABの特長を活かして、それが患者さんに最も役立つ状況のときには積極的に使用し、ノウハウを蓄積して来ました。
名古屋ハートセンターではこの豊橋の経験とノウハウを十分に活用し、治療成績や患者さんの満足度の向上に役立てています。
(手術事例: ハイリスク例に対するMIDCAB(ミッドキャブ)手術
)
MIDCABの特徴は何と言っても皮膚切開が小さく、
かつそれが乳房の下部であるため傷が 目立たず、痛みも少なく、
胸骨を切らないため術後の回復や社会復帰も早い印象があることです。
とくに冠動脈バイパス手術の最大メリットである左内胸動脈ー左前下降枝バイパスができることが大きな特長です
(これはいかなるステント治療よりも長期確実で安全という意見が多いです)。
その代わり、小切開のための限界があり、回旋枝や右冠動脈にはバイパスがしづらいなどの弱点があります。
しかしこれは他血管に側副血行路が発達していたり、
カテーテル治療PCIとハイブリッドする場合はかなり補強できます。
また皮膚切開はMIDCABよりはやや長くなりますが、同じコンセプトで左開胸のオフポンプバイパス手術を行うことでリスクを軽減できることがあります。
たとえば 心臓患者さんで「エホバの証人」の方へのページでお示ししたバイパス再手術のケースはMIDCABに近い左開胸をすることで無輸血を容易に達成し、患者さんに大変満足して頂けました。
それらを考慮しますと、MIDCABはケースバイケースで一部の患者さんに大変役立つと考えています。
たとえば全身状態が悪いハイリスク例や高齢者、それも再手術などのケースや、
輸血ができないエホバの証人の患者さんで再手術例とか出血傾向が強いとき、
あるいは正中切開が安全上不利な時などが挙げられるでしょう。
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