2b) 僧帽弁疾患―さまざまなタイプが。治せるものは?
成人の先天性僧帽弁疾患にもさまざまなタイプがあります。
単なる心室中隔欠損症VSDあるいは心房中隔欠損症ASDを伴うもの、
あるいは弁尖に裂け目(クレフト cleft)があるタイプのもの、
広い意味では扁平胸に伴うもの、
その他があります(手術事例 先天性僧帽弁閉鎖不全症)。
手術では僧帽弁の逆流を治すことはもちろん、合併病変も同時に治す必要があります。
弁は極力、弁形成術を行い、やむを得ない場合のみに弁置換術を行います。
若い患者さんであればあるほど、弁形成術のメリットが大きくなります。
とくに将来の妊娠・出産を考えておられる女性患者さんには弁形成術は重要です。
人工弁(機械弁)をつけるとその方はワーファリンが必要になるからです。
ワーファリンを飲んでいると妊娠出産は危険です。
ここで僧帽弁形成術とこどもの心臓手術の経験とノウハウが活躍します。
また成人期ともなれば長期間の心臓への負荷のために心房細動が発生していることも多くあり、それに対してはメイズ手術や心房縮小メイズ手術で正常リズムを回復できるようにします。
それによってワーファリンなしで暮らせるようになり、安全性・快適性とも上昇するからです。
つまりしっかりとした不整脈手術の裏付けがあってこそ弁形成術が意義あるものになるわけです。
先天性の僧帽弁閉鎖不全症では30歳前後で心臓に無理がかかり手術を受けられる患者さんが少なくないため、
安全性を確保しつつ、なるべく早い仕事復帰・社会復帰や精神的な苦痛の軽減をはかるため、
ミックス手術(MICS法)あるいはポートアクセス法という小さい皮膚切開での手術を行うようにしています。
それが難しいような複雑な手術の場合でもポートアクセスMICSに準じた創が目立たない方法を取っています。
右図の右端が僧帽弁形成術のミックス手術、左端がやや複雑形成や同時手術がある場合のミックス手術です。
僧帽弁疾患では必ずしも先天性であるかどうか最初はわかりにくい時があります。
僧帽弁膜症の診断を受けられた段階でご相談されれば、その詳細は心エコーなどの精密検査の段階で明らかとなり、それはそのまま治療・手術にも役立ちます。
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