4) バチスタ手術とは?―奇跡の手術となり得ますが時と場合を選ぶ必要が
Q: バチスタ手術とはどんな手術ですか?
A: 拡張型心筋症は内科治療での予後(お薬で治療する場合の長期生存率)が厳しいにも拘わらず長い間、効果的な手術法がありませんでした。
ところが1990年代にブラジルのバチスタ先生が心臓の一部を切り取って小さくすることで元気な心臓に戻るという、有名な「バチスタ手術」を開発・発表されてから拡張型心筋症は手術治療の対象になりました。
バチスタ先生は物理学者でもあり、物理学で左心室の一部を切り取り、その直径を小さくすると、左心室の壁にかかる張力が軽くなることを、物理学・ラプラスの定理から知っておられたのです。実際、手術で元気に回復する患者さんが少なくありませんでした。
しかしバチスタ手術 (正式には左室部分切除術 partial left ventriculectomy と呼びPLVと略します)では当時は効果が一定ではなく、予測がつきにくいという問題のため、まもなく廃れてしまいました。
またアメリカでは現在、健康保険が出ないこともあってこの手術 はほとんど行われていない状況です。それ以上に欧米では重症心不全は補助循環(つまり人工心臓)ついで心移植という道が広く、この手術に頼る必要が少ないという事情もあります。
日本では須磨久善先生がこの手術を導入・改良され、一定の評価を受けるようになりましたが積極的に取り組んでいるのはごく一部の施設のみと言われています。
このバチスタ手術はそれを必要とする患者さんに、正しく行えば大きなメリットがある手術です。私たちはこれを守り、手術成績を良くし、さらに安全なものにすべく努力しています。
詳しくは次のページをご覧ください。
メモ: バチスタ先生とは学会等で何度もお世話になった友人というより大先輩ですが、面白いことに著者の第二の故郷とも言えるトロントで研修を受けられた研修の先輩でもあります。
良いものは良い、悪いものは悪いと、クールに判断し、実質を追求する、竹を縦に割ったような人柄は付き合っていて最高に面白い、そういう方です。
ブラジルのジャングルの中で、お金もなく、高価な器械もなく、それでも患者さんを助ける、地に足をつけた先生です。
それだけにこの先生からは多くを学ばせて頂きました。
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