7) 虚血性心筋症に対する左室形成手術にはどういうものがあるのですか?

 バチスタ手術の考え方を示します。心筋梗塞の部位によっていくつかの術式を選択し、安全性が高まりました。左室形成術とは左室の壊れた部位を切り取ったり縫い縮めたりパッチを貼ったりしてサイズと形を整える手術です。

それによって左室はパワーをある程度以上取り戻し、患者さんはその分元気になれるわけです。


虚血性心筋症は心筋梗塞やそれに準じた状態が原因となって起こりますので、左室のなかで比較的良いところと悪いところがはっきりしており、経験豊富な心臓外科医なら左室を効果的に「組み立て」なおし、左室のパワーアップを図ることができます。


2009年にスティッチトライアル(Stich Trial)という多施設での臨床研究が発表されましたが、識者の間でも話題になるほどの欠陥研究で、私たちが手術しないような軽い心筋症を主にあつかい、それにごく簡単な左室形成術を行って、それほどメリットがないというものでした。


虚血性心筋症の患者さんの救命に力をいれてきた私たちはこの結果を踏まえて、より重症の患者さんでもより安全に効率よく治療ができるように、全国や海外の仲間と協力して検討を進めています。


現在、超重症の方を助けるべく、一般的なドール手術Dor手術)虚血性心疾患・手術事例2)を改良したセーブ手術SAVE手術)虚血性心疾患・手術事例3(心臓の形を自然できれいに保ち、傷んだ部分を十分に修復し心臓の力が最大限に発揮できます)バチスタ手術(変法)(改良バチスタ手術とも呼んでいます、心臓の先端部分を温存し自然の構造を守るのが特長です。 

心筋症のページをご参照ください)を用いてさらに良い成績を上げつつあります。


 さらにセーブ手術の良さとドール手術の簡便さを併せた手術法を考案し、手術前に体力が消耗した患者さんの安全性を向上するために役立っています。


また左室形成術に加えて両室ペーシング(CRTと略します)という方法を併用することで一層術後の心機能を改善させています(虚血性心疾患・手術事例4)


5_2心臓や全身の状態にもよりますが、心臓移植しかない(しかし年齢等の制約で移植ができない)と言われていた患者さんがこれらの手術で元気になられたというケースが多数あります。

セーブ手術と改良バチスタ手術は左室を修復する場所におうじてきれいに使い分けています。

適応があれば80歳代のご高齢の方にも左室形成術を行い元気になって戴いています(虚血性心疾患・手術事例5)

 

 

なおオーバーラップ手術(Overlap手術)虚血性心疾患・手術事例6)という手術も行うことはあります。

手術が簡便というメリットがあるからです。

ただ効果が左室の根っこ部分にはあまり効かずかつ病変部を残すため長持ちしない心配が強く、動物実験でもあるていどそれを確認しているため、ケースバイケースで活用しています。


心不全・心筋症に対する左室形成手術では他病院からも手術依頼があり、それに応えていますし、近隣地域はもとより遠方の移動できない重症患者さんのために出張して手術した実績も多数あります。

より大きなチーム医療が役立つ領域です。

  Heart_dRR
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8) 心筋梗塞のあとなどに起こる虚血性僧帽弁閉鎖不全症(虚血性MR)は治療が難しいと聞きますが へ進む

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最終更新日時

  • 平成24年 1月30日(月曜日)