6) 狭心症が悪化して心筋梗塞になってからでも手術はできるのですか?
すでに心筋梗塞になってしまわれた患者さんには、その失われた心筋(心臓の筋肉)を元に 戻すことは現在のところ不可能ですが、残った心筋をフルに効果的に活躍させることで心臓の力を高めることは可能です。
たとえば左室瘤(心筋こうそくにやられた場所がこぶのように膨らんでしまいます)や虚血性心筋症(左心室全体の動きが悪くなります)には左室形成手術(LVRと略します)が役に立ちます。
心筋梗塞後の左室形成術では左室の特に悪い部分を小さく縫い縮め、形を整えて、残った部分のパワーを上げようというわけです。
私達は左室形成術を通算で100名以上の患者さんに行い、手術前に心筋梗塞のために心臓も全身も衰弱しておられた超重症の患者さんを除けば多くは救命できています。
また左室の形が崩れたり大きくなりすぎて僧帽弁がゆがみ、弁逆流を起こす虚血性僧帽弁閉鎖不全症が発生すれば、外科手術が活躍します。(手術事例: コレステロール塞栓と虚血性僧帽弁閉鎖不全症の患者さん)
心筋梗塞はなるべく起こさないのが望ましいのですが、不運にして梗塞が起こってからでも手術で治せるところが多々あるわけです。その時に大切なことは、まだパワーのある心筋(心臓の筋肉)がある程度以上残っていること、そして手術に耐えられる体力がまだあること、なのです。
近い将来には再生医学によって血管を増やしたり、さらには失われた心筋を新たに作り直して心臓をより効率的に回復させる治療が出てくるかも知れません。
現在、再生医療の準備を進める中で、一足先に認可を頂いたタイ国で心臓の再生医療を開始しています。
メモ: 心筋梗塞のあとの左心室関係の二次的問題を心筋梗塞後の器械的合併症と呼び、以下が代表例です1.左室瘤、2.虚血性心筋症、3.虚血性僧帽弁閉鎖不全症、4.3.の中でも乳頭筋断裂、5.心室中隔穿孔(VSP)、6.左室破裂
いずれも治療や手術は可能ですが、タイミングを逸するとそれができないことがあります。早目の対応が大切なわけです。


