6. 先天性心疾患―こどもの病気ですが大人にまで持ち越されることも

先天性心疾患 (成人期)先天性心疾患はこどもだけの病気とは限りません。おとなにも多数おられます。

先天性心疾患つまり生まれた時からの心臓病は手術などの治療法が進歩し多くの患児たちが元気になり、立派な社会人として生活できるようになりつつあります。

先天性心疾患の手術や治療は全国のこども病院が主な舞台になって来ており、重症の患児は必要におうじてより小さい時期たとえば新生児や乳児の段階で病気を治す方向にあります。


1) 先天性心疾患について

私どもは大人の患者さんのための心臓専門病院ですのでここでは主に15歳以上の大人あるいはそれに近い状況の患者さんの先天性心疾患とその手術・治療について解説します


 2) 大動脈弁疾患(二尖弁など)

近 年、大動脈二尖弁に対する認識が高まったこともあってか、大動脈二尖弁を背景とした大動脈弁膜症の患者さんがよくご来院されるようになりました。

二尖弁そ のものは病気とは言えないのですが、病気になりやすい傾向はあり、注意が必要です。

また近年の研究の結果、大動脈疾患としての病気の本態も解明され、この 観点からのフォローも大切です。 MICS-AVRorAVP

■ ミックス手術(MICS、低侵襲小切開手術、ポートアクセス法)による大動脈弁形成術大動脈弁置換術

 

   2b) 僧帽弁疾患

先天性の僧帽弁疾患も少なからずあります。

先天性僧帽弁閉鎖不全症や狭窄症などですね。

他の疾患たとえば共通房室弁などと合併することもあります。

経験豊かなチームであれば多くの場合、弁形成ができ、患者さんのライフプラン設計に大きな利点があります。

MICS3 ■ ミックス手術(MICS、低侵襲小切開手術、ポートアクセス法)による僧帽弁形成術僧帽弁置換術

 

3) 心房中隔欠損症(ASD)

先天性心疾患の代表例の一つである心房中隔欠損症は放置すれば成人してから、さらには中高年になればさまざまな問題を引き起こします。

中でも不整脈を合併し、心臓内に血栓ができ、それが脳に飛んで脳梗塞になるのは恐ろしいことです。

それは的確な手術によって避けることが可能です。

ミックス手術(MICS、小切開低侵襲手術)による心房中隔欠損症の根治手術: これによって、より苦痛が少なく、より早い社会復帰ができるようになりました。

■ 心房中隔欠損症の治療、アンプラッツ法?ポートアクセス法? 正しい適応で最良の結果を

 

4) エプシュタイン病

Person_0337エプシュタイン病はさまざまな重症度があり、中には成人してから次第に症状が出てくるかたもあります。

不整脈を起こしやすいことでも知られています。

心エコーで苦痛なく診断はつきま すので疑いありと言われれば早目に専門医の診察を受けて下さい。


手術ではエプシュタイン病の中身のひとつひとつを治せる可能性大きいです。

心房中隔欠損症ASDや三尖弁はもちろん、WPW症候群や心房細動などの不整脈などが治療の対象となります。

 

5) 心室中隔欠損症(VSD)

心室中隔欠損症(略称VSD)もよくある先天性心疾患です。自然に閉じるタイプもありますが、中には大動脈弁の逆流を誘発し弁膜症を合併するタイプもあります。

状況によってVSDのみ治すだけで十分なタイプから大動脈弁も形成術で治すタイプまであります。

心室中隔欠損症に対するミックス手術(MICS手術)できるだけ患者さんの肉体的・精神的負担を減らすために

 
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6) 動脈管開存症 (PDA)

動脈管開存症も動脈管が細めのときなどには大人になって症状があきらかになるタイプもあります。

心臓への負担は少なくないことが多いため、PDAと言われたら早目に専門医に相談されるのを勧めます。

7) 肺動脈弁狭窄症 (PS)

肺動脈弁が狭くなる肺動脈弁狭窄症は軽度であれば症状も軽く大人になってから次第に問題が出てくることがあります。

多くの場合、弁形成術で治せますので意義は大きいです。

  7b) 右室二腔症

右 室二腔症は右室の中に筋肉が異常に発達して右室がほぼ二つに分かれる状態です。その異常筋肉の部分がうんと狭くなり、血液が流れにくくなると危険な状況と なることがあります。

とくに中高年ではその狭さが極端になり突然死の危険があることもあります。

経験あるチームなら手術で治せる病気ですので、放置して大 事に至るのは残念なことです。


8) 左室緻密化障害 心臓を大切に

左 室緻密化障害は比較的最近になって理解が進んだ病気です。

それ自体は心筋症・心不全になったり、血栓が左室内にできてそれが全身に飛んで問題になることが 知られています。

外科手術で病気の本質つまり左室筋肉がすきまだらけで血栓ができるというのはかなり治せますし心不全も拡張した左室なら治せます。

その一 方治しづらい状態のときもあり、主治医と密な相談が必要です。


9) 特発性拡張型心筋症

この特発性拡張型心筋症も難病と言われる病気です。

しかしただ難病として手をこまねいていてはいけません。完全に解決はできていなくても治せる部分があるからです。


10) バルサルバ洞瘤

Illust1447bバ ルサルバ洞は大動脈弁のついている付近の大動脈のふくらみ部分を指します。

ここが瘤つまりこぶのようになって右房などに突出し破れるととつぜん心不全で倒 れることがあります。

またこのバルサルバが外側へ向いて大きくなると心臓の周囲へ破裂すれば危険ですし、大動脈弁の形がゆがんで弁が逆流すると心不全にな ります。

マルファン症候群などの場合におこりやすいです。いずれの場合でも手術で治せる病気です。

とくに大動脈弁が壊れ始めたらあまり変化が強くないうち に弁形成術・自己弁温存手術で治すのが有利です。

11) 冠動脈ろうと冠動脈瘤

冠 動脈は心臓に血液を送る大切な動脈ですが、これが何らかの原因で静脈や右心房などの圧の低い部屋に交通(冠動脈ろう)したり、瘤(こぶのような形)になる ことがあります。

これらの病気では心臓の筋肉に血液が十分届かなくなったり、血栓ができてそれが動脈を詰めると心筋梗塞になり危険です。

いざ必要となれば 手術等で治せる病気ですのでまず状態を正確に把握することが大切です。
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12) 大動脈弁下狭窄症 IHSS (HOCMも)

IHSS や肥厚型肥厚性心筋症HOCMは重くなれば突然死の危険もある病気です。

中には後天性と思われるものも見られます。

ともあれ失神発作や僧帽弁の逆流などを合併すれば積極的に治療するこ とが必要となります。

軽症であればカテーテルで治療できることもよくあるのですが、重症や治りにくいタイプでは手術が活躍します。

手術は職人芸的な一面が あり、慣れた術者が手術すれば確実に、かつ安全に治せます。

13) 修正大血管転位症

修 正大血管転位症にはさまざまなタイプがあり、こどもの時期に付随病変たとえば心室中隔欠損症VSDや肺動脈弁狭窄症PSなどを手術することも多いのですが、それらが強くなければそのまま、あるいは診断がつかない形で治療もフォローも受けない形で年月が経過することもあります。

しかし年齢とともに心不全や 三尖弁閉鎖不全症などが悪化することが知られています。

拡張型心筋症の手術や治療の経験を加味すればかなり有効な手が打てるものです。

14) 三心房心

三 心房心には異常隔壁と穴の位置や心房中隔欠損症などの状態により、さまざまなタイプがあります。

症状が強いときや心臓への負担が大きい場合には手術が必要 となります。

成人期では心房細動などの二次的問題が発生することもあります。

熟練チームであれば安全な手術が可能です。


参考: 川崎病 川崎病(略称MCLS)は後天性の冠動脈瘤や冠動脈疾患(重症では心筋梗塞や死亡)を合併する病気ですので、先天性心疾患ではありません。

ただこどもの時期に起こる病気ですので、注意が必要です。そして10代さらに大人になってからも、定期健診は有益です。

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最終更新日時

  • 平成24年 1月30日(月曜日)