6) バチスタ手術改良型の実績は―成績向上が顕著、多少の体力は必要
Q: バチスタ手術の改良型(変法)はこれまでにどのくらいの実績がありますか?
これまでに13人の患者さんに使用し、ほぼ全員元気にされています(複数の左室形成術とその他手
術を要した超重症の高齢患者さん一人を例外として)。 Journal of Cardiac Surgery というアメリカのジャーナルに掲載されました(英語論文243番)。その後また一人の患者さんを救命できました。
心臓移植はドナーの不足のためにあまりチャンスがありませんので、バチスタ手術変法 (改良型)はこれから多くの患者さんたちの命を救うものと期待されています。
旧ユーゴなど東ヨーロッパでは予算等の制約から心移植がまだ未発達で、バチスタ手術への期待が以前からあり、この改良型を教えたところ、使える、術後の立ち上がりが良いというご意見を戴きました。
近年、テレビ・映画の「医龍」や「チーム・バチスタの栄光」でようやく多くの一般の方々の関心を集めるようになったバチスタ手術ですが、現実に安全に患者さんの役に立つ手術になりつつあるわけです。
注意点は左室が拡張障害(筋肉が硬くなっている)を起こしているケースでは手術後も心不全が治りにくいことです。逆に左室の拡張が高度な患者さんでは重症でも元気に回復できる可能性がかなりあります。
また肺高血圧症をお持ちの患者さんも、この手術は慎重に計画する必要があります。
逆にそれらをクリアーできるときは手術の威力が発揮できるとも言えましょう。
ヨーロッパの一部でもバチスタ手術を見直す気運が生まれています。とくに60歳を超える患者さんの場合は移植の適応からも外れ補助循環(人工心臓)のリスクも高くなるため、一層バチスタ手術の意義は大きいと考えています。
メモ: 心不全の手術でつらいことは、患者さんが全身衰弱してから心臓外科へ来られることが多いことです。
もちろん常に全力を尽くすのですが、全身の余裕がある状態での手術ならもっと安全に快適に進むのにと思ったことがあります。
とくに肝臓が悪くなってからの手術はそれだけ厳しい状態となるため、それまでに治療を始めることができれば、患者さんにとってのメリットは大きいものと考えます。
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