5.動脈硬化症 6) 新しい再生医学の治療法
Q: こうした従来の治療法でだめなとき、何か方法はあるのですか?
上記の従来治療をどのように駆使しても下肢の血流が不足し、下肢を切断する危険が迫っている場合には下肢に新しい血管を造って下肢を救う血管新生療法という試みがあります。これは再生医学の一つです。
左図はbFGF徐放(bFGFは塩基性繊維芽細胞増殖因子というたんぱく質、徐放は徐々に放出する方法です)の動物実験の写真です。
bFGFで目に見える血管が沢山できているのがわかります。こうした実験を糖尿病や高コレステロールの動物で十分行い、効果と安全性を確認してから下記の臨床試験に入りました。
これまで実績があるのは骨髄の細胞(たとえば骨髄単核球細胞)を下肢に注射して血管を作る方法で一定の成果が報告されています。
私達はこれをさらに立派にすべく、bFGFを下肢で4週間じっくりと効かせる(徐放)方法を京都大学再生医科学研究所の田畑泰彦先生らと開発しこれまで7名の患者さんに臨床試験として使用しました。痛みが消え、下肢の皮膚潰瘍が治るケースが多く、今後さらに展開させたく考えています。
これまでは京大病院でこの治療法を行ってきましたが、同病院では現在これは止まっており、現在海外の病院で再開準備中です。何よりも安全第一のため様々な準備、設備、倫理委員会や法律遵守のための手続きなどが必要なため時間をかけて取り組んでいます。
写真はバージャー病の患者さんの治療前後の比較をしたものです。ASOでも同様の効果が出ています。
安全重視のためまず最少量のbFGFを使っていますが、それでもこれだけ効くことから皆勇気づけられ、今後徐々に量を増やして一層の効果を期待しています。
将来的にはES細胞やiPS細胞などの万能細胞を使えるようになれば良いのですが、現時点ではこれらはまだまだ実験段階で、効果も安全性も未確定なため、自然で体にやさしいbFGF徐放による治療を進める努力をしています。
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