3) 真性胸部大動脈瘤にはどういうものが?

Q: 真性胸部大動脈瘤にはどういうものがあるのですか?

真性胸部大動脈瘤の例を2つ示します胸部真性大動脈瘤は 大きく3つに分けられます。

上行大動脈瘤、弓部大動脈瘤、下行大動脈瘤です。

それらはしばしば合併し、た とえば図左は上行弓部大動脈瘤、図右は遠位弓部下行大動脈瘤です。遠位弓部大動脈瘤の患者さんのCT写真(3次元再生)です

胸部大動脈瘤の場合は一般には瘤の直径が6cmに 達すると急に破 裂する可能性が高まるため 手術が必要になります。たとえば右の写真のように弓部大動脈が瘤(矢印)になり大きく拡張した場合などです。

ただしマルファン症候群など 結合組織が弱くなる病気の患者さんはそれより小さな、たとえば直径5cmでも手術が勧められることがよくあり ます。直径5cmで破裂したというケースが過去にかなりあるからです。

サイズの割には破れやすいタイプの大動脈瘤(のう状瘤と呼びます)のCT写真ですまた左写真のように、大動脈瘤がポコッと突出する形のタイプは直径がそれほど大きくなくても破裂する危険性が高いです。瘤の壁の一部に弱いところがあるからです。この場合は直径6cmよりかなり小さくても、破れるまでに早期手術することが勧められます。

真性の胸部大動脈瘤で手遅れにならないようにするためにはCT検査による定期検診が大変役に立ちますし、患者さんの苦痛もほ とんどありません。

いずれも人工血管を用いて瘤の部分を置換し、破裂の心配を無くすのですが、 心臓や脳の保護をやらないと血管を一時遮断できないため様々な工夫をします。 上行大動脈に限局している場合 は体外循環のもと、大動脈を遮断して遮断部と心臓との間を人工血管で置き換えます。

しかし瘤が上行大動脈の遠位部に達しているときは、通常は体外循環を用いて体温を下げ(体はある種の冬眠 状態となって守られやすくなります)、一時的に血流を止める(循環停止と呼びます)か何らかのルートから血液を流して脳や心臓を守り つつ人工血管を縫い付けるか、脳への血流を確保しておいてそれほど温度を下げず人工血管を取り付けて行くな どします。

超高齢者や全身の状態が悪い患者さんの場合は、上記の方法をもっとコンパクトにして、循環停止を使わずに上行大動脈置換術+ラッピング法を工夫して安全を確保しています(ラッピングの手術事例)。

上行大動脈瘤は身体の前から、下行大動脈瘤では左横から入ります。 弓部大動脈瘤は状況に応じてさまざま な方向からアプローチしますが、安全策を考えて一般には前からが多いです。

胸部大動脈瘤は破れるまでに手術すればその大半が助かる病気です。つい最近も(2010年2月)俳優の藤田まことさんがこの病気で亡くなられました。藤田さんの詳しい状況は存じませんが、皆さんには早期診断と早期治療で多くの方が社会復帰を遂げておられることを知って戴きたく思います。

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最終更新日時

  • 平成22年 7月26日(月曜日)