③大動脈弁閉鎖不全症では?―重症では危険。知らない間に重症化も。
大動脈弁閉鎖不全症では左心室(左室)に負担がかかり左室が拡張し大きくなり、次第に力 を落とします。
左室がかなり悪くならないと症状が出にくいことがあり、要注意です。
胸痛(胸が痛む、圧迫感や締めつけられる感じ)や失神発作(気を失ったりフラーっとします)がでれば突然死などの恐れもあり早く治療することが必要です。
息切れなどの心不全症状が出現した場合も同様です。
何しろこの大動脈弁閉鎖不全症の場合は心臓が全身へ向けて送り出した血液のかなりの部分が心臓へ逆流の形でもどって来ます。
そのためたとえばもとの血圧が120/70なら150/50などのように、上の血圧が上がり、下の血圧が下がります。
処方されたお薬によってはこの数字は変化しますが、下の血圧が下がるということが心臓へ送る血液量を減らし心臓への負担を倍増させてしまうのです。
治療について、弁の状態やお若い年齢その他の状況によっては弁膜症エキスパートの心臓外科医なら弁形成術ができることもあります。
通常は弁が壊れていることが多く、せっかく形成しても長持ちしないことが多く、弁置換術となります。
手術の安全性は高く、全国平均でも2%程度のリスクで手術はできます。
成績が良い病院ではその半分以下のリスクで手術できます。
そのため、手術から逃げて、突然死などの形で命を落とすことはあまりにも残念なことです。
大動脈弁閉鎖不全症の診断を受け、手術が必要と言われた患者さんは、主治医の先生とじっくり相談され、納得いかない場合は、セカンドオピニオンということで他病院の専門家の御意見を戴かれるのがよろしいかと思います。
医師を選ぶのは患者さんの権利ですから遠慮は要りません。
患者さんにとってはご自分の命や人生がかかっているのですから。
なお私たちの経験では二尖弁の大動脈弁閉鎖不全症や心室中隔欠損症(VSD)に合併したもの、あるいは大動脈解離や大動脈基部拡張症に随伴するものでは弁が長持ちしやすいため、積極的に大動脈弁を形成しています。
とくに若い患者さんの場合は生体弁の持ちが劣るため弁形成の特長が光りますので、弁形成がより多くなります。
また極端に左室が大きくなったケースではバチスタ手術(左室形成手術)などを併用して乗り切ったこともあります。
しかし安全上勧められるのは左室があまり悪くなりすぎないうちにゆうゆうと手術で弁を治すことです。
冒頭に記しましたように、大動脈弁閉鎖不全症ではかなり末期になるまであまり症状がでないケースもあります。
息切れやふらつき・動悸などでおかしいと思えば早めに専門医にご相談下さい。
参考: 大動脈弁閉鎖不全症の手術ガイドライン ガイドラインは患者さんにもっとも有利な治療をするために役立ちます。
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