2) 狭心症にはどういう手術があるのですか?―効果的な方法があります

オフポンプ冠動脈バイパス手術後の完成図の一例です。両側内胸動脈グラフトが患者さんの長期予後(生存率など)を助けます狭心症(胸や腕の内側などが締め付けるように痛みます)の患者さんには冠動脈バイパス手術(ACバイパス手術、CABG)という手術を行います。


これは胸の中にある内胸動脈(ないきょうどうみゃく)やお腹の上端内側にある胃大網動脈(いたいもうどうみゃく)という動脈や腕にあるとう骨動脈あるいは下肢にある静脈をもちいます。

これらを組み合わせて心臓に血液(酸素や栄養を含みます)を送る冠状動脈にバイパスを作り、心臓に血液を送る手術です。


ビル・クリントン元アメリカ合衆国大統領も2004年にこの冠動脈バイパス手術を受け、元気に復帰しています。


内科のカテーテル治療が進化し薬剤溶出性ステント(略称DES)という優れた治療法が使える現在も、冠動脈バイパス手術の利点はたくさんあります。

一言でいえば普通の生活に戻れるということです。カテーテル治療では必ずしもそうはいきません。

有名なSyntax(シンタックス)研究でもたった4年で冠動脈バイパス手術の患者さんはステントの患者さんより長生きできることが示されています。


冠動脈バイパス手術はこの10年ほどの間に大半が体外循環(人工心肺)を使わない

オフポンプバイパス(OPCAB オプキャブ)手術

に進化し、安全性がさらに向上しました。(手術事例 オフポンプバイパス手術


バイパス手術にもちいる内胸動脈グラフトはとくに動脈硬化になりにくいため、糖尿病慢性腎不全・血液透析の患者さんの予後を改善するのに役立つことが知られています。

 私たちの経験でもたとえば10年以上の血液透析で冠動脈がガチガチに硬化・石灰化していても内胸動脈は柔らかい良い状態であることが確認できています。

(手術事例:現在典型的なオフポンプバイパス手術) 


またこどものころ川崎病を患われた患者さんや冠動脈の生まれつきの病気に見られるような冠動脈瘤などが合併した場合でも冠動脈バイパス術と瘤閉鎖を組み合わせて安全な治療ができるようにしています。

 (手術事例 冠動脈瘤)          


メモ: 優れたステントの出現で循環器治療の世界も変化が見られます。

これまでの内科・外科という縦割りではなく、冠動脈科、心不全科、弁膜症科、大動脈科などの臓器別・疾患別の体制ができつつあります。

もちろんそのどれか一つしか治せないチームでは複合した病気に対応できませんから、それぞれへの対応を考えたチーム作りを進めることが大切です。

しかしどの場合でも内科と外科さらに開業医の先生方との協力は重要で意義が深いものです。

Heart_dRR
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最終更新日時

  • 平成24年 1月30日(月曜日)