③虚血性僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成術

Q: 虚血性僧帽弁閉鎖不全症ではどのように僧帽弁形成手術を行うのですか?

虚血性僧帽弁閉鎖不全症は弁膜症の姿をした心室の病気です僧帽弁閉鎖不全症の中でも虚血性僧帽弁閉鎖不全症は最も形成が難しく予後が悪いといわれています。10年あまり前、米国ハーバード大学のCohn(コーン)教授らが、この病気の場合は弁形成でも弁置換でも成績に差がない、つまりどちらも成績が悪いということを発表されたとき、専門家はこれではいけない、何とかしようと思ったものです。

それはこの病気の場合、心筋梗塞やカテーテル治療(PCI)の繰り返し等によって左室が壊れて弱くなっているからです。つまり普通の弁膜症より心臓のパワーが明らかに落ちており、患者さんの体力も低下しているからです。またこの病気の場合に僧帽弁のどこがどう悪くなっているか、これまで解明されていなかったためもあります。

とくに弁が強く「テント化」(左心室側に牽引される)の著明なケースは弁形成手術が難しいといわれています。これは数年前にイタリアの畏友Calafiore先生(現在サウジアラビアでご活躍中)が発表され、それをもとにしてさらに弁形成の改良に力を入れたものです。

このように虚血性僧帽弁閉鎖不全症は難病として昔からよく知られ、これまでにいくつもの方法が欧米を中心に発表されて来ましたが、私たちはこうした重症例でも必要に応じて左室形成手術を併用して左室そのものを治したり、二次腱索を再建する術式(腱索転位術、腱索トランスロケーション法 chordal translocation)を考案しテント化を解決しつつ左室を守り、ほとんどのケースで弁形成に成功しています (弁膜症 手術事例5)。

心臓外科領域で残された大きなフロンティアの一つであり、かつ循環器内科の先生方や開業医の先生方と力を合わせて克服すべき大きな領域です。近い将来、患者さんのためにより大きな技術が確立されるでしょう。ただしあまり大きな心筋梗塞のあとなどは心臓のパワー自体が少なすぎるため、これへの対策も今後さらに必要となるでしょう。

虚血性僧帽弁閉鎖不全症に対する③b 腱索転位術(トランスロケーション法) のページへ進む

1.弁膜症 の扉のページへもどる

フォトアルバム
メルマガ登録・解除
いい心臓・いい人生

メールアドレスをご記入ください
読者登録規約
powered by まぐまぐ!
 

最終更新日時

  • 平成22年 9月2日(木曜日)