心臓血管外科情報WEB について

当サイトは心臓血管外科について、患者さんや一般開業医の先生方に情報を提供することを目的としています。記載はなるべく平易にしていますが、国内外の新しい情報や実際の心臓血管手術中写真をはじめ内容的には循環器内科専門医の先生方にも参考になるように心掛けています。

Photo 逆に患者さんやご家族の方々には予備知識や用語の解説などが不足しているかと思います。しかし病名とその病気の説明を聴かれたあとである程度の予備知識をもって検索される状況を考え、あまり冗長にならないようにも務めました。いわゆるランキング本や名医・スーパードクター紹介などはしばしば有用な情報となり得ますが、医療内容や具体的情報までは伝え切れない懸念もありそうした本を読まれるときにも役立つかも知れません。
当サイトでは将来は患者さん向けと専門医師向けに分けることを考えています。なおフォトギャラリーは休憩用で筆者の趣味でもあります。論文リストは主に医師の方々向けでより正確で詳細な情報が得られることを目的としています。

EBM (Evidence Based Medicine、証拠・根拠に基づく医療)の重要性と有用性は20年以上 1 前から知られており、診療ガイドラインに代表されるさまざまな努力がなされていることは大変望ましいことです。当サイトでもEBMやガイドラインを意識して情報を発信するようにしています。

しかし同時に、EBMの限界も近年認識されるようになりました。そもそもEBMで最も有用とされる前向き無作為割り付け比較試験は緊急や重症の患者さんでは倫理上からも時間の制約からも難しいです。つまりEBMは軽症や余裕のある患者さんでのデータになりがちという弱点をもっています。

こうしたことは手術数が多い海外の病院で臨床研究をした人にはおなじみのことですが、日本では症例数が少ないため本格的臨床研究そのものが遅れて来た歴史からまだ十分理解されているとは言えないようです。

たとえば全身の動脈硬化が高度な患者さんでオフポンプバイパス手術(図)は以前なら助けられCabg なかった患者さんを多数救っていると思いますが、そのような患者さんを無作為割り付けすることに困難があり、オフポンプバイパスとオンポンプバイパス手術の成績差がなかなか明らかにならなかったという歴史からもEBMの限界が窺われます。

しかしこれまでオフポンプバイパスによってかつては救えなかった患者さんがごく普通に救えるようになったという印象が強いため、オフポンプバイパスが有用と信じられる患者さんには信念をもってオフポンプバイパスを行っているのが経験豊かな心臓外科医の姿と思います。

同じことは弁膜症手術・不整脈手術左室形成手術あるいは弓部大動脈手術その他でも言えると思います。

近年、日本全国のデータベースが充実し、予測死亡率との対比において自分(達)の成績をPhoto 考えることができるようになりました。また参考にヨーロッパやアメリカのデータベースも使えます。

こうした情報も今後さらに重要性と有用性を増すものと思います。たとえば手術をして何パーセントかの患者さんを救えなかった、残念無念という状況で、同じ患者さんが全国水準の病院で手術を受ければそれより明らかに高い死亡率がでているということがデータベースから判れば、自分たちは比較的善戦健闘したと言えるわけです。こうした世界の常識がまだ日本では十分には浸透していないことも念頭においてものを考えています。

39_2 情報がネットから得られる利点は何でしょうか。いろいろとあり得るとは思いますが、私が考えるのは、医師から少々歩み寄っても医師にものが聞きづらいということが起こり得るため、第三者的情報としてのネット情報が役立つことです。

患者さんの立場や心境は微妙に揺れることが多く、ある患者さんが医師にも、看護師にも言えないことがお掃除のおばさんになら言えると言われたとき、これではいけないと痛感しました。
もちろんネット情報だけでは一方通行になったり、情報内容が不足したり誤解を招いたりということもあり得ます。患者さんにはこの情報をもとにして、他情報も検討したり、できるだけ質問するなどして納得が行く方針を得られることをお勧めします。

医学医療を論じるときに一般的な教科書的知識はもちろん重要です。しかし実際の経験の 000827mb_3 中で培われた内容や、その検討結果、またその一次情報としての検討データや症例報告・画像なども重要かと思います。その意味で本サイトでは情報とともにポリシーや信念に近いところもある程度記載しています。適宜医学書などを参照して頂ければ幸甚です。

良いサイトは両方向のコミュニケーションによって完成度を高めていくと思います。このサイトをご覧の皆様にはぜひご意見やご質問をお願いしたく存じます。時間の許す限りお答えいたします。             著者 

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最終更新日時

  • 平成20年11月18日(火曜日)