感染性心内膜炎 (IEと略します)
Q: 感染性心内膜炎とはどんな時に起こりやすいのですか?
若い方から高齢者まで少なからず起こり得る弁の病気として感染性心内膜炎(IEと略称します)があります。IEは心臓の弁が細菌などでやられる病気です。まったく弁に病気がない人でも起こることはありますが、何らかの心臓病がもともとあった方に起こりやすいとされています。
たとえば心室中隔欠損症や僧帽弁逸脱症(弁が左房に落ち込みます)・僧帽弁閉鎖不全症(弁逆流が起こります)あるいは大動脈弁二尖弁(通常3つある弁尖が2つになる病気です)はじめさまざまな疾患や状態が遠因になっています。きっかけは抜歯やけが・なにがしかの感染、注射の回し打ちなども含まれます。
また一度IEになってお薬(抗生物質)で治っても、その原因が残っている場合は、しばしば再発することがEBM(証拠・根拠に基づく医学)で知られています。注意が必要です。
Q: 感染性心内膜炎はどう怖いのですか?
IEは原因菌によっては抗生物質の効きも悪く、菌体のかたまりがちぎれて飛ぶと脳卒中などの重大な問題に発展します。また感染のある部位に人工物(弁形成の糸や人工弁など、感染には弱い)を入れなくてはいけないというジレンマもあります。
そこで積極的に手術を行うとともに、菌や感染組織をきれいに取り去り、こわれた弁は なるべく形成し、形成が良くない場合には人工弁を用いて治療します。
私どもでは弁手術や左室形成手術のノウハウを活かして殆どのIEの患者さんを救命できています(弁膜症症例4)。
僧帽弁や大動脈弁の弁のみならず弁輪(弁の付け根、重要部分)が感染で破壊されていても、再建が可能です(左図)。
Q: 人工弁に感染性心内膜炎が起こったら?
IEの中でも最も予後が悪いと言われる人工弁感染性心内膜炎(PVEと略称します)についても積極的に治療を行っています。
PVEは内科治療で治すことは一段と難しく、手術自体もその術 者とチームの経験量・力量が問われる難手術がしばしばあります。通常の弁膜症手術のテクニックでは対処できないことがあります。
感染した人工弁と感染組織をすべて取り外した上に、心臓や弁やその土台を再建する必要があり、手術のあとも出血や感染や多臓器の保護が必要となるからです。左図は大動脈基部人工弁感染・膿瘍に対して弁輪から再建したものです。
PVEと言われてお困りの方はご連絡ください。なお患者さんやご家族の方には、IEと言われれば大きな合併症(菌体の塞栓による脳梗塞や動脈瘤など)が起こるまでに早目にご相談ください。



