僧帽弁弁膜症とメイズ手術

Q: 僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成手術について

僧帽弁の患者さん、とくに僧帽弁閉鎖不全症(血液の逆流が起こり心臓が無理をします)にMr はさまざまな原因やパタンがあります。それらを踏まえて適切な弁手術を組み立てていきます。

僧帽弁閉鎖不全症の手術には弁形成手術が第一選択となります(弁膜症症例1)。                                                                                    

       

         

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弁形成手術では患者さん自身の弁をいろんなテクニックを用いて修復し、人工弁を使わずにすみますので、人工弁にまつわる問題が回避できます。私達は複雑な弁形成も積極的に行っており僧帽弁閉鎖不全症の患者さんの殆どが弁形成手術で元気になっておられます(弁膜症症例2症例3)。

海外で修行のあと日本国内での200例以上の弁形成の経験のなかで、高齢の方や最近では激しいスポーツマンや近い将来妊娠希望の若い患者さんが来院されることも増え、弁形成手術によって格闘技を含めたスポーツや妊娠・出産あるいは危険な職業への復帰も可能となりました。(弁膜症症例4

Q: 虚血性僧帽弁閉鎖不全症ではどのように僧帽弁形成手術を行うのですか?

僧帽弁閉鎖不全症の中でも虚血性僧帽弁閉鎖不全症は最も形成が難しく予後が悪いといわれています。とくに弁が強く「テント化」(左心室側に牽引される)の著明なケースは弁形成手術が難しいといわれています。私たちはこうした重症例でも必要に応じて左室形成手術を併用して左室を治したり、二次腱索を再建する術式を考案しテント化を解決しつつ左室を守り、ほとんどのケースで弁形成に成功しています(弁膜症症例5)。

 

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虚血性僧帽弁閉鎖不全症は単なる弁の病気ではなく左室そのものが壊れた結果、左室の中心とも言える僧帽弁が逆流するため、治療ポリシーも左室を治すことが弁を治すことにつながり、長期生存を促すと考えて手術しています。実際、弁だけを治したのでは長く生きられないというデータがアメリカやヨーロッパから報告されています。

Q: どんな場合に僧帽弁置換手術をするのですか?

僧帽弁形成手術ができないような患者さん、たとえば弁がカチカチに石灰化している方や感染でばい菌にやられている方、あるいは短時間に確実に手術をまとめ上げる必要のある患者さんなどには、弁置換手術を行います。つまりもMvr との弁を切除して人工弁を入れるわけです。その場合でも乳頭筋を温存して左心室の中の自然の構造を守り、良好な術後心機能を得ています。心機能では弁形成手術と比べても遜色ないレベルです(弁膜症症例6)。僧帽弁狭窄症(弁が狭くなります)では弁が硬く分厚く変化していることが多く、弁形成手術は長持ちするかどうか不明なことも多く、上記の工夫をした弁置換手術が確実に患者さんを助けます。

Q: 人工弁にはどういうタイプがあるのですか?

弁置換手術の際に使う人工弁には機械弁と生体弁があります。

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機械弁(金属弁)は金属でできており長持ちしますがワーファリンという血栓予防の薬を一生飲む必要があります。 生体弁(ウシやブタの組織を使った人工弁)は若い患者さんでは10年あまりしか弁がもちません(最近では高齢者では20年近くまで伸びつつあります)が、ワーファリンを飲まずに済み、そのお陰で脳出血なども起こりにくくなります。 (注意:ワーファリンは名前はバファリンに似ていますが違うお薬です)

どちらの系統の弁が良いかは患者さんの年齢、状態、ライフスタイル(たとえば格闘技やラグビーなどの激しいスポーツをしたい方には弁形成が不可能な場合に生体弁、将来妊娠を希望される女性にも弁置換の必要がある場合は生体弁、デスクワークが主でスポーツはテニスやゴルフといった方の場合は機械弁、など)、仕事などを検討・相談してその患者さんにトータルで一番有利な方を選んでいます。手術前に納得行くまで患者さんやご家族と相談するようにしています。生体弁を比較的若い患者さんに使う場合の重要ポイントの一つはもしもの再手術をどれだけ安全なものにできるかということです。私達は心膜その他の周囲組織を修復して手術を終えるため、将来の再手術のときにも癒着が少なく安全に手術が行えるという実績を持っています。

Q: 心房細動はどのように怖い病気なのですか?治せるのですか?

僧帽弁の病気の患者さんではしばしば不整脈とくに心房細動が合併します。心房細動にな

2ってしまうと心臓の力が落ち、しかも血栓が心臓内にできてこれが血流に乗って脳に流れると脳梗塞(脳卒中)になってしまいます。心房細動が時々起こる状態のときはとくに梗塞がよく起こります。野球の長島さんやサッカーのオシムさん、かつての総理大臣の小渕さんはこうして脳梗塞に襲われたと言われています。

しかし心房細動は僧帽弁やバイパス手術のときに一緒に治すことができます。メイズ手術という心臓の中の電気信号を整える手術を行って治します。弁が大丈夫で心房細動だけの場合はカテーテルで治せることもあります(カテーテルアブレーションと呼びます)。

私たちは心房縮小メイズ手術という新しい手術を開発し(弁膜症症例7)、これまで手術適応がなかった(つまり手術してもダメな状況)でも90%近いケースで心房細動を治すことができています。

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通常のメイズ手術やカテーテルアブレーションができないような重症例、たとえば巨大左房や心房細動が10年あるいは20年を超える患者さんでも大半のケースで不整脈を治すことができています。心房が大きいと心房細動になりやすく、治し難いことが患者さんのデータから知られており、この意味で心房を縮小して正常化させる私達の方法は自然の摂理に合っているとよく言われます。心房細動が解決すると長期間の生存率や合併症が改善します。

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Q: 心房縮小メイズ手術で心臓はどれくらい良くなるのですか?

たとえば左図は62歳女性で長年の僧帽弁狭窄症と三尖弁閉鎖不全症のため巨大左房と心不全・心房細動をきたし手術が危険と言われていました。心房縮小メイズと僧帽弁置換術・三尖弁形成手術ですっかり元気になられ、心房細動さえ治りました。心機能は格段に改善し、心不全は解消しました。写真は手術前後の心エコーでLAは左房を示します。とくに左房が大変小さくなりました。

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