虚血性心疾患・症例 3 セーブ手術
12歳女子、5年前の僧帽弁手術の際に発症した虚血性心筋症が悪化し心停止を来たし心肺蘇生ののち緊急手術となりました。虚血以外の理由で悪くなった可能性がある部位もあり慎重に対処しました。
1.薄くなった左室前壁(矢印)を切開して左室内に入ります。心臓は動かしたままで手術を進めています。
手術前に心臓が一度停止していた重症例では心臓を止めると動きが再開しない心配があったためです。
またこうすることで、左室の悪い部分と良い部分がより明瞭にわかるためもあります。
.
ドール手術ではこれだけ心室中隔の基部までやられているケースでは左室が術後、丸くなり心機能がより低下する心配があります。そこで形を歪めないセーブ手術を施行しました。
最近はこうしたケースでも安心して使えるドール手術を開発し、術後の左室の形の良さと左室機能の改善を確認できています。
3.昔の手術で取り付けられた弁が血栓弁になっていたため、これを再弁置換中(矢印)です。
通常は左心房から行う操作ですが、この場合は時間の節約(つまり患者さんの体力の保護)のため左室経由で行いました。
通常と逆の位置から人工弁を入れるため、その向きに注意して入れます。
.
.
左室はうんと小さくなりました。新しい左室はパッチ(矢印)の奥にあり、パッチの手前のスペース分だけ左室が小さくなりました。
.
.
5.左室を閉鎖しつつあるところです。長い心不全と入院生活のため回復には時間がかかりましたが、着実に回復し、学校生活にもどりました。
あれから5年経った現在も元気に生活しておられます。
.
.
.
6.手術前後の左室短軸エコーを示します。大きさが比較できるようスケールを合わせました。矢印が5cmです。
手術後どれほど心臓が小さく、また動きが改善したかが見て戴ければ幸いです。
重い心不全でもあきらめてはいけないことを教えてくれたケースです。





