手術事例 やや複雑な僧帽弁形成術

患者さんは55歳女性。僧帽弁前尖の腱索断裂による逸脱のための閉鎖不全症に対してゴアテックス人工腱索と僧帽弁輪形成術(MAP)を組み合わせた僧帽弁形成術を行いました。また慢性心房細動に対してMaze(メイズ)手術を併せて施行しています。

21_31.僧帽弁前尖の腱索が断裂し(矢印、ピンセットで断裂した腱索を引いています)、前尖は強く逸脱しています。

前尖そのものの変形や変化は軽いため、腱索を人工のものに変えるだけで弁の逆流は解決できると判断しました。

私は1988年から僧帽弁形成術の際に人工腱索(ゴアテックス製です)をトロント大学のDavid先生のご指導で使用しており、20年のノウハウ蓄積があります。.

22_22.前尖に人工腱索(矢印)を刺入したところです。

この人工腱索の適切な長さの設定が手術成績を左右する重要項目です。

この術式はさらに進化を遂げ、人工腱索のフォローアップが10年を超えたことを受けて、現在は必要があれば12本まで人工腱索を立てて僧帽弁を再建するようにしています。

つまり弁葉(弁のひらひらした部分)さえ大丈夫なら、腱索は全部だめな状況でも弁形成はできるというわけです。

23_33.僧帽弁輪形成 (MAP) のリングを取り付けているところ。

これは長期成績を改善する上で極めて重要です。

僧帽弁形成術に使うリングには硬いタイプと柔軟なタイプ、全周性とそうでないもの、患者さんの心膜使用のものなどがあり、適宜選択しています。

24_34.左室へ生理食塩水を注入しても弁逆流なく、弁を押して逆流することを確認(逆流試験OK)。

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25_35.肺静脈隔離術のあと僧帽弁輪周囲部を冷凍凝固(矢印がその器具)して心房細動を治しているところ。

これをメイズ手術と呼びますが、肺静脈隔離術単独よりも効果が高いことが本家Cox先生などから報告されています。

通常のメイズ手術が効きにくい巨大左房の患者さんや心房細動期間が10 年ー20年を超える患者さんでは心房縮小メイズ手術を開発し、十分除細動が可能な状況になりつつあります。

左上に僧帽弁輪形成(MAP)のリングが見えます。

僧帽弁形成術の良さの一つは手術のあと、血栓ができる心配が少ないため、ワーファリンを飲まずにすむことです。しかし僧帽弁の患者さんはしばしば心房細動を手術前にもっておられ、それをそのままにしておけば、せっかくの手術の後もワーファリンを飲む必要が生じます。

そこで僧帽弁形成術にメイズ手術それもより効果的なものを行う意義ができるわけです。心房細動を治してこそ、弁形成術の意義が100%に高まります。

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最終更新日時

  • 平成22年 7月26日(月曜日)